駒崎 弘樹プロフィール
1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、「地域の力によって病児保育問題を解決し、子育てと仕事を両立できる社会をつくりたい」と考え、2004年にNPO法人フローレンスを設立。日本初の「共済型・訪問型」の病児保育サービスを首都圏で開始、共働きやひとり親の子育て家庭をサポートする。
2010年からは待機児童問題の解決のため、空き住戸を使った「おうち保育園」を展開。「おうち保育園」モデルは、2015年度より「小規模認可保育所」として、政府の子ども子育て新制度において制度化され、全国に広がった。
2014年には、これまで保育園に入れなかった医療的ケアのある子ども達を中心とした障害児を専門的に預かる「障害児保育園ヘレン」を東京都杉並区に開園。同時に医療的ケア児に関する政策提言を行い、2021年「医療的ケア児支援法」を実現した。
その他、主な政策提言・実現実績として「日本版DBS法」「こども誰でも通園制度」「子どもの置き去り防止装置の設置義務化」「男性産休(新生児パパ育休)」「男性育休の通知・開示義務化」など。2014年からの10年で、16の法律の成立・改正に携わる。
公職としては、2010年より内閣府政策調査員、内閣府「新しい公共」専門調査会推進委員、内閣官房「社会保障改革に関する集中検討会議」委員などを歴任。 現在、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員会座長、こども家庭庁「こども家庭審議会 子ども・子育て支援等分科会」委員を務める。
著書に『「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方』(英治出版)、『働き方革命』(ちくま新書)、『社会を変えるお金の使い方』(英治出版)、『社会を変えたい人のためのソーシャルビジネス入門 』(PHP新書)、『社会をちょっと変えてみた』(岩波書店)等。翻訳書に「あなたには夢がある」(英治出版)。
一男一女の父であり、子どもの誕生時にはそれぞれ2か月の育児休業を取得。
経歴
- 2003年任意団体フローレンスを立ち上げ
- 2004年4月特定非営利活動法人内閣府認証取得
- 2004年4月NPO法人 フローレンス 代表理事
- 2004年品川区次世代育成支援対策推進法委員会委員に市民代表として選出
- 2009年2月日本ワーク /ライフ・バランス研究会共同代表
- 2010年1月内閣府非常勤国家公務員(政策調査員)に任命
- 2010年6月厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員に任命(2013年6月座長に就任、現職)
- 2010年10月NHK中央番組審議会委員に任命
- 2010年12月内閣府「新しい公共」推進会議 専門調査会 推進委員に任命
- 2011年2月内閣官房「社会保障改革に関する集中検討会議」委員に任命
- 2012年9月一般財団法人 日本病児保育協会 理事長 就任(退任)
- 2012年11月NPO法人 全国小規模保育協議会 理事長 就任(退任)
- 2012年12月内閣府より認定を取得、認定NPO法人フローレンス代表理事に
- 2013年5月内閣府 「子ども・子育て会議」 委員
- 2014年10月公益社団法人 ハタチ基金 共同代表(退任)
- 2015年7月全国医療ケア児者支援協議会 事務局長(現職)
- 2016年6月新公益連盟 代表理事(退任)
- 2016年6月全国こどもの貧困イニシアチブ 呼びかけ人
- 2016年8月日本こども縁組協会 呼びかけ人(活動終了)
- 2017年4月休眠預金内閣府審議会 専門委員
- 2017年12月日本弁護士連合会 市民会議委員
- 2018年10月医療法人社団ペルル(現・医療法人社団マーガレット) 理事長に就任(現職)
- 2018年10月一般社団法人こども宅食応援団 代表理事に就任(現職)
- 2019年4月慶應義塾大学SFC特別招聘教授に就任(退任)
- 2022年6月J-wave "Tokyo Mirai Makers"メインパーソナリティーに就任
- 2022年7月特定非営利活動法人 全国小規模保育協議会 理事に就任
- 2022年9月フローレンスグループ 会長CEO(現職)、認定NPO法人フローレンス 会長(現職)
- 2023年4月こども家庭庁「こども家庭審議会 子ども・子育て支援等分科会」委員に就任
- 2023年9月「こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会」委員に就任
- 2023年9月「夜立よる学校」校長に就任
達成
- 2006年7月日本青年会議所主催 人間力大賞グランプリ「内閣総理大臣奨励賞」受賞
- 2006年10月アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー(EOY Japan)セミファイナリストノミネート
- 2007年7月ニューズウィーク「世界を変える社会起業家100人」にノミネート
- 2008年3月「ハーバードビジネススクール クラブオブジャパン アントレプレナーオブザイヤー2008」にノミネート
- 2011年12月ニューズウイーク日本版 「日本を救う中小企業100」に選出
- 2016年11月ハーバード・ビジネス・レビュー「未来をつくる U40経営者20人」に選出
- 2018年7月「ロレアル・ユネスコ女性科学者 日本特別賞」受賞
著書・共著・翻訳書
- ・政策起業家 ――「普通のあなた」が社会のルールを変える方法(ちくま新書) (筑摩書房)
- ・世界一子どもを育てやすい国にしよう (ウェッジ)
- ・社会をちょっと変えてみた――ふつうの人が政治を動かした七つの物語 (岩波書店 )
- ・社会を変えたい人のためのソーシャルビジネス入門 (PHP新書) (PHP研究所)
- ・【実践 病児保育入門】認定病児保育スペシャリスト試験 公式テキスト (英治出版)
- ・2人が「最高のチーム」になる―― ワーキングカップルの人生戦略 (英治出版)
- ・「社会を変える」を仕事にする: 社会起業家という生き方 (ちくま文庫) (筑摩書房)
- ・「社会を変える」お金の使い方――投票としての寄付 投資としての寄付 (英治出版)
- ・働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書) (筑摩書房)
- ・あなたには夢がある 小さなアトリエから始まったスラム街の奇跡 (英治出版)
関わる団体・プロジェクト
活動実績
日本初の訪問型・共済型の病児保育を事業化
子どもが病気、でもきょうは仕事を休めない・・・。
ベビーシッターをしていた母親に、子どもの病気で欠勤が続き失職した知り合いの話を聞いたことがきっかけで、子育てと仕事の両立を阻む「病児保育問題」を事業で解決しようと決意。2004年にNPO法人フローレンスを設立。
働く親からの高いニーズがあるにも関わらず9割以上が赤字で新規参入の難しい病児保育業界で、訪問型・共済型という日本初の仕組みを構築し、東京都江東区で2005年より預かりを始める。
その後首都圏の共働きの親からの要望を受けて、加速的にサービス対象エリアを拡大させ、東京23区・狛江市・三鷹市・武蔵野市・調布市、横浜市、川崎市、浦安市、市川市など首都圏近郊でサービスを展開。
3300世帯の子育てと仕事の両立を支えている。
(会員世帯数は2014年3月現在)
ひとり親支援
ひとり親世帯では、子どもが病気になった時にも両親交代で会社を休むなどの対処ができず、病児保育問題は更に深刻。また、母子家庭においては平均世帯年収は211万円、雇用保険の加入率も約50%と言われ、失職すれば収入が完全にゼロになる可能性が高い。また、生活不安から教育費をかけることができず、次世代への貧困の連鎖につながってしまうことは、親の収入と大学進学率が比例することからも明らかになっている。
そういった収入の少ない働くひとり親世帯の子育てを支援するため2008年より寄付会員制度を導入し、寄付を原資に安価な病児保育パックの提供を開始。 現在600名の寄付会員と企業寄付の協力を得て、170名のひとり親世帯を支えている。
(寄付会員・ひとり親会員世帯数は2014年3月現在)
待機児童問題の解決策として小規模保育施設を事業化/法制化
保育所に子どもを預けて働きたくとも働けない待機児童数は2万5千人(2012年4月厚生労働省発表)。
2010年より、待機児童問題の解決策として、マンションの空き部屋や空き一軒家、空き事業所などを小規模保育園に転換するという新たな手法を展開(「おうち保育園」)。
東京都江東区、中野区、品川区、豊島区、台東区などの自治体で10園を展開。
待機児童が集中するエリアに迅速に、既存の保育園に比べ低コストで保育園を開園し、3人の子どもに対して1人の保育スタッフが保育にあたる手厚い人員配置の「小規模保育」を行う。
この取組がモデルとなり、2012年の国会にて「子ども・子育て支援法」として国策化され、2015年度からは全国でおうち保育園のような小規模保育施設が展開しやすくなる見込みで、待機児童問題解決への大きな前進が期待される。
障害児保育事業
子どもを預けられないため、就労を希望しながらも、働けない障害児の母親が潜在的に存在する。
しかし、障害がある子、特に医療的ケアを必要とした障害のある子を預かれるところは少なく、「保護者の就労を支える」ことを目的とした預かり先はほぼない。
2014年、この障害児保育問題を解決するために杉並区に「障害児保育園ヘレン」を開園。大きな注目を集めている。
2015年4月からは自宅でマンツーマンで障害児を預かる「障害児訪問保育アニー」を開始。重い障害のある子どもの子育てと親の就労とを支えている。
赤ちゃんの虐待死ゼロを目指す、妊娠相談・赤ちゃん縁組事業
日本では2週間に1人、生まれたばかりの赤ちゃんが遺棄され命を落としている。望まない妊娠、産んでも育てられない事情を抱える場合に相談できる公的機関がほとんどなく、妊婦が追い詰められることが一因となっている。
この問題を解決するため、2016年4月から「赤ちゃん縁組事業」を開始。妊娠期に課題を抱える妊婦の相談に乗り、どうしても育てられない場合には出産と同時に子どもを望む育ての親に託す、特別養子縁組を支援する。
10年以内に赤ちゃんの虐待死をゼロにすることを目標に、事業によって目の前の赤ちゃんを助けながら、特別養子縁組を日本に広げる法整備を働きかける。