ついに男性育休取得率が30%を超えた!
感無量です。厚労省イクメンプロジェクトを仲間とともに立ち上げてから14年。世の中にイクメンという造語(社会的記号)を流行らせ、男性育休の制度をブラッシュアップし続けてきました。
(この辺りは拙著「政策起業家」に詳しく書かれております)
【驚異の30%越え】
その結果、2023年度の男性育休取得率は過去最高の30.1%!
去年が17%だったので、13%のジャンプアップです。
今日は歴史的な日だ、と言えるでしょう。13%というと、1996年が0.12%で、2020年が13%弱なので、13%まで持っていくのに24年間かかった、というくらいの数値です。それが昨年から去年の1年で達成された、というのは、育休法改正の威力を物語っていると言えるでしょう。しかも、これまでは2週間未満しか取らない超短期取得者の割合が高かったのですが、2週間から1ヶ月取る層が48%と8年前と比べて倍増。2年前と比べても10%アップと、「長く」取るようにもなってきています。育休取得率調査と同時に発表したのが、「若年層における育休等取得に対する意識調査」でしたが、若い学生たちの3割は「半年以上取りたい」と言っていて、6割の学生は「育休取得実績がない企業に就職したくない」と言っています。もはや若年層の意識は大きく変わり、企業はこうした学生たちを惹きつけるためには、男性育休を推進しない、という選択肢は無さそうです。
【これからどうなる】
男性育休取得率は大きく向上しました。
来年から「夫婦ふたりで取れば、手取り10割保証」もスタートするので、更に上がっていくでしょう。しかし、本丸は男性育休に留まらず、「男性の働き方改革」まで進まないと、真の変革は訪れないでしょう。
【鍵は残業代割り増し率】
男性がようやく家事育児にコミットし始めたとて、企業に長時間かつ人員配置ギリギリの「マッチョ労働」を強いられていては、家事育児にコミットし続けることは難しい。マッチョ労働を脱していくために、更なる制度改善を行わねばならない。センターピンは「残業代1.5倍」案です。現状、残業代は通常賃金の1.25倍。これは先進諸国と比べてみても低い。よって、経営者としては人を増員するよりも、「今いる社員が長く働く」ことで、繁閑をカバーしていく方が安上がりで合理的です。じゃあ、残業代が何割増しだともうひとり人を雇ってカバーした方が合理的だと思うのか?これを「均衡割増賃金率」というのですが、それが1.53。そう、約1.5倍なのです。アメリカもイギリスもフランスもドイツも1.5倍なのと、符号します。
【マッチョ労働を脱するとどうなるか】
マッチョ労働を脱することは、日本を救います。
というのも、男性の長時間労働率と合計特殊出生率には負の相関があるからです。
つまり、男性が長時間働く国ほど、出生率が低いのです。
少子高齢化に悩む日本に、これほどの特効薬があるでしょうか。
男性育休の成功を踏み台に、今こそマッチョ労働改革に歩を進めるべき。厚労省イクメンプロジェクトは、日本の病巣たるマッチョ労働と、これからも闘っていきたいと思います。応援ください。
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