駒崎 弘樹 公式ブログ 提言・解説・アイディア

今しなきゃいけない3つの規制緩和はこれだ!!

 

 日々現場でひーこら社会課題の解決に頑張っている僕たちがぶつかる壁があります。

 

 

 それは、「謎規制」の壁。

 

 

 正直、国や自治体の仕組みには、誰のために・何のためにあるのか分からないような謎ルール・謎規制が多すぎるんです!!

 

 

 「もっとたくさんの人を救いたいのに、社会を良くしたいのに。
この謎規制さえなければ…!」

 

 

 そんな風に悔しい思いをし続けている僕から、今日は3つの謎規制とその緩和策をご紹介しますっ!!

 

1.自宅に限られている「居宅訪問型保育」を、入院中の子どもたちにも使わせてください

2.NPOが株式会社等に事業を無償譲渡できない規制を撤廃してください

3.NPOの株式保有について、「事業の一環としての出資は原則認められない」とする規制を緩和してください

 

 

【規制緩和3策!】

 

1.自宅に限られている「居宅訪問型保育」を、入院中の子どもたちにも使わせてください

 

 みなさん、「付き添い入院」ってご存知ですか?

 

 

 幼い子どもが入院した際、保護者が24時間付きっきりで世話をすることです。

 

 

 実はこれ、制度上は「原則不可」なんですよね。

 

 

 ただ、実態としては病院側も人手が足りないから、保護者にお願いして、「保護者が希望して付き添う」という体で行われちゃっている。

 

 

 民間の調査によれば、入院した子どもがいる保護者の85%が付き添い入院を経験しています。※1

 

 

 この付き添い入院、家族の負担が半端ない。

 

 

 保護者の分の食事は出ないので「3食コンビニ食」で過ごしたり、シャワーも浴びれなかったり、寝る時だって子どものベッドに添い寝するしかなかったり。
数日だってキツいのに、これが数週間、数ヶ月続くとなると本当に過酷です。

 

 

 親が体調を崩したり、仕事を辞めざるを得なくなったりするケースもあるし、長期間親と離れ離れになるきょうだい児が精神的に不安になるなんて話も聞きます。

 

 そこで思いついたのが、「居宅訪問型保育事業」の活用!/p>

 

 

 重い障害などで地域の保育園等に通えない子どもに対し、保育士が家庭を訪問する制度なんですが、これを入院中にも使えたらいいんじゃないかと。

 

 

 しかし国に提案したところ答えはNG…

 

 

 なぜなら「居宅」=「自宅」であって、「病院」は「自宅」じゃないから。

 

 

 でも、数ヶ月に渡って入院している親子にとって、病院ってもはや家みたいなものじゃないですか?

 

 

 「居宅訪問型保育事業」の利用要件を緩和し、入院中の子どもにも制度を使えるようにしてください!

 

 

2.NPOが株式会社等に事業を無償譲渡できない規制を撤廃してください

 

 次は、NPOに関する規制について。

 

 

 一つ目は、「事業の無償譲渡」の規制です。

 

 

 営利法人が、他法人へ事業譲渡をできるように、NPO法人も事業譲渡をすることができます。

 

 

 一般的に、事業譲渡を行う際には、適正な対価を受け取る「有償譲渡」と、対価の支払いを受けない「無償譲渡」が選択可能です。

 

 

 ただ、NPOは「営利企業に対して寄附をしてはいけない」と謎にされているので、事業の「無償譲渡」も「寄附」に該当するとして認められていません。

 

 

 事業価値がある事業を無償譲渡するのは「寄附」に当たるってことは理解できる。

 

 

 でも、事業価値のない事業(※2)を無償譲渡するのも「寄附」に当たるからダメなんですよ。

 

 

 事業価値がないどころか、むしろ赤字の事業ですらダメ。

 

 

 理解不能。こんなの「寄附」でもなんでもないっしょ!

 

 

 この規制のせいで、NPOが事業継承する時は、「赤字で事業価値はないけど、有償で買ってください」と言うしかない。そんな交渉を引き受ける企業がどこにあるんだ??と…

 

 

 フローレンスも、利用者には本当に本当に申し訳ない気持ちで、保育園等の事業をやむを得ず手放さなきゃいけないことがあります。

 

 

 でも、もし誰かが事業を引き取ってくれたら、フローレンスから離れても、その後の支援は続いていくんです。

 

 

 事業を譲渡できず、支援が止まるよりも、意欲のある企業に事業を託して支援が止まらず、希望を繋ぎ続けていく社会の方が圧倒的に良いと思いませんか?
ぜひとも、NPOの事業の無償譲渡に関する謎規制を緩和してほしいですっ!

 

 

3.NPOの株式保有による資本提携や子会社化、社会課題解決を目指す団体等への出資を認めてください

 

 NPO関連の二つ目は、「NPOの株式保有」の規制。

 

 

 内閣府のQ&Aによれば、NPOは「活動資金を得るための資産運用」の場合を除いて、「事業の一環としての出資」は原則NGとされています。

 

 

 このルールによって、NPOって株式保有による資本提携も、子会社化も、インパクトスタートアップ(社会課題解決と経済成長を目指す企業・団体)への出資もできないんですよね。

 

 

 NPOの資本提携とか子会社化って中々イメージしにくいかもしれませんが。
これ、僕としては、NPOの成長と拡大を加速させる大きな一手になり得ると思ってます。

 

 

 例えば、フローレンスは障害児家族向けの保育事業(障害児保育、医療的ケアシッターなど)を複数展開しています。
そんな僕たちが、もし障害者向けの介護・福祉用具の製造会社と資本提携できれば。

 

 

 フローレンスが保育を通じて培ったノウハウと、製造会社の技術力が融合して、障害児家族の生活を変えるような素敵な製品が生まれるかもしれない。
人材と情報が行き来することで、新たな事業の種が生まれるかもしれない。

 

 

 こんな風にたくさんの可能性が感じられて、ワクワクしませんか?

 

 

 この「NPOが事業の一環として出資するのNGルール」ができたのって、1998年のこと。「インパクトスタートアップ」っていう概念すら広まってなかった20年前の常識からすれば、NPOの出資なんて当然NG、だったかもしれないけど…

 

 

 その頃から社会もNPOのあり方も大きく変わったのに、未だにこの昔ながらのガチガチの規制でNPOの成長を阻むのはナンセンス。

 

 

 この謎規制もぜひなくしてほしいっ!

 

 

 親子の課題を事業と政策提言によって解決するフローレンスは、これからも親子の声を政治に届け続けていきます。

 

 

 フローレンスのこうした社会的アクションや政策提言活動は、皆さんからのご寄付によって支えられています。

 

 

 ぜひ、これからもフローレンスの活動を応援いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 

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※1  NPO法人キープ・ママ・スマイリング・聖路加国際大学「入院中の子どもの家族の生活と支援に関する実態調査」(2021年10月)

https://university.luke.ac.jp/news/2021/jgl9rh0000006cjn.html

※2 第三者機関で価格評価(デューデリジェンス)を受けた結果、事業価値がない(時価評価1円)と判断された場合

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