釜ヶ崎芸術大学から学ぶ、アートと福祉の融合
西成あいりん地区に。
日雇いの仕事で暮らしが安定せず家族を持たないまま年を重ねた、かつての高度成長期を支えた労働者が暮らしており、失業、貧困、孤立、高齢化など、多くの課題が山積。
ここでゲストハウス「ココルーム」を運営するアーティスト上田暇奈代さん。
「釜ヶ崎芸術大学」を開設。
キャッチフレーズは、「学びたい人が集まれば、そこが大学になる」。
まち全体を大学に見立て、市民会館や公園などを会場に、アーティストによるプログラム(ワークショップ)を年間約100講座実施。
ホームレスや日雇いのおじさんたちも、アートを通じて自己表現し、その作品も売られていた。
僕が翻訳させてもらったビル・ストリックランドの「あなたには夢がある」でも描かれていたが、アートは資本主義の中では弱者として扱われる人たちを、主体的に世界を切り取る「表現者」に変える。それが尊厳の回復をもたらし、エンパワーメントへと繋がっていく。
そうした「アートが福祉に手を伸ばす」現場の息吹を体感させてもらった。
西成のいろんな店舗のシャッターにアート作品が描かれることで、その一角だけ空気が変わる感触がもたらされるのも、アートの力だな、と感じた。
印象に残った作品は、リアルなダンボールハウスの内側に書かれた般若心経。立ち退きの時に捨てられそうだったものを、上田さんが拾ってきたもの。社会からこぼれ落ちたところに、まさに綴られたお経の持つ神性に鳥肌の立つ思いだった。
フローレンスが彼らから学んで何かやれることがあるか、と考えたところで言うと、「ゲストハウスのフリした子どもシェルター」とかできたら楽しそう。普段はゲストハウスで収益化するんだけど、行き場のない子ども達をリファーされたら泊めて飯食いながら話聞けたりする場所。古いビルとか寄付してくれる人がいたら、そんな施設やりたいな。