駒崎 弘樹 公式ブログ 事業ニュース

2023年こんなことをやっていくぜと今から心躍ってる

 2022年は圧倒的な達成感で終えることができた。

 そう、ふるさと納税クラファンである。フローレンスにとって初めての挑戦で、正直、当初思っていたより10倍くらい苦戦した。NPOへの寄付はハードルが高いけど、ふるさと納税だったらみんな楽しく気軽にやっているし、やりやすいよね、みたいな。

 全然そんなことなかった。

 ふるさと納税やったことない人もまだまだ多いし、渋谷区にふるさと納税するとフローレンスの虐待予防活動を支援できるっていうのが伝わりづらいし、渋谷区へのふるさと納税だと渋谷区の子どもしか助けられないの?みたいな誤解も生まれちゃうし。

 そんなわけで色々と苦労したけれど、みなさんの力添えのおかげで達成できた。本当にありがたい。涙が出た。

 僕は今回、592人に個別メッセージを送った。最初は大変な作業だったけれど、この声がをきっかけに近況を知れたり、また交友が復活できたり、友人たちの絆を再構築するような作業だったし、自分がどれだけ多くの人たちに支えられているのか、改めて圧倒的な感謝の念を抱くことができたという意味で、素晴らしい経験だった。

 そんな22年だったけれど、ようやくこの苦しかった2年半のトンネルを抜けられたような気がしている。事業的にはコロナ禍とその対応で苦しく、個人的にはミッドライフクライシスで苦しかった。

 ミッドライフクライシスは日本語にすると「中年の危機」だけど、簡単にいうと、「これからどう生きていったら良いか分からない」とアイデンティティを揺るがされる体験だ。

 ここでは詳細を話す紙幅はないけれど、自分の人生のオリコンチャートに入るくらい悩んだ。発達検査も受けたし、カウンセリングも通ったし、瞑想もやったし、ジャーナリング(ひたすら書く作業)もやったし、友人たちと旅行もしたし、登山もしたし、いろんな体験を通じて、自分と向き合った。思春期以来だ。

 その結果、何となくままならない自分とどう付き合えば良いか、うっすら分かってきて、どう生きていけば良いのか、あるいはどう生きたいのか、の輪郭を掴めるようになってきた。

 一言で言うと、「粘土をこねるように、心躍る未来を手づくりする人生」だ。

 「起業家としてはこのくらいいきたい」とか、「社員の人生を預かる経営者としてはこうあるべき」とか、そう言うことは手放して、自分としての自分がどうありたいのか、と言う声に耳を傾けられるように、ようやくなったのだと思う。

 2023年は、トンネルを抜けて光の向かう方向に進んで行けたらと思う。

 

 

仕事編:

・フローレンス第三フェーズへの移行

 当初は日本初の訪問型・共済型病児保育から始まったフローレンス。第一フェーズでは「子育てと仕事の両立支援のフローレンス」だった。第二フェーズでは保育だけでなく、赤ちゃん縁組やこども宅食等の児童福祉・家庭福祉、そして虐待/貧困問題にも踏み入れて「日本の親子の社会課題解決のフローレンス」となった。

 昨年度、ビジョンやミッションをリニューアルし、第三フェーズへと移行しようとしている。そこでは、活動の射程を現在の子どもや親子だけでなく、未来世代全てを包括する。さらに、社会起業と政策起業だけでなく「文化創造」も行っていこうと思っている。具体的には、思想を創り、それを発信し、人々の意識や価値観を変えていくようなソーシャルアクションを仕掛けていきたいと思う。

 そういうフローレンスは何なのか。かつてはソーシャルビジネスや社会的企業だったわけだけど、そうではなくなっていくのだと思う。

 宇野常寛さんの言葉を借りると「良いショッカー」なんだけど、今、何となく自分の心にあるのが「こどもの未来防衛隊」っていう言葉で、何のこっちゃって感じだと思うのだけど、そんな感じ。

 いずれにせよ、この「いまだ言葉にならざるもの」への脱皮をしていく一年だと思う。

・経営者から伝道者(エバンジェリスト)へ

 これまでビジネスのメタファーで組織運営してきたのだけど、上記のようにフローレンスは「事業体ならざるもの」へと変貌していくにあたって、経営者の役割も必然的に変わっていくことになる。

 経営はもちろんしながらだが、新たなビジョンや思想を世の中に発信していくエバンジェリストになっていくことが求められるような気がしている。経営者モードの時はメディア露出よりも内部マネジメントに時間を割くことを良しとしていたし、炎上リスクもあって発信には制限をかけていた。

 一方でエバンジェリストモードになった場合、生み出したい未来から逆算し、今はない思想とアイデアを突拍子もないと思われながらも発信していくことになる。メディアの力も借りながら、自らを風変わりな拡声器に仕立てながら。

 そんなキャラ変を行っていきたい。

・こども予算倍増キャンペーン

 この国の子どもに関する問題の多くは、「子ども向け予算が少ない」ということに帰結する。少子化にせよ、子どもの貧困にせよ、虐待問題にせよ。教師の多忙と公教育の質の低下にせよ。

 対GDP比でいくと、フランスの半分。この馬鹿げた状態を変えなければならない。

 しかし、岸田政権は軍事費の倍増とそのための増税は光の速さで決めたのに、こども予算の倍増については、未だ財源は決まっていない。

 今こそ、声をあげなければならない。こども家庭庁が発足する、ここでこども予算を増やせなかったら、いつ増せるというのだろうか。子どもの予算が増やせなければ、子どもを苦しめ、未来を縮小させるあらゆる問題に対して無力のままでいることになる。

 今が、時だ。

・「みんなの保育園」実装とデジタルソーシャルワークの制度化

 共働きの家庭しか通えない保育園というシステムを、全ての子どもたちが通える場所にする。この保育史上最大の改革を後押ししたい。今年はモデル事業を実践して、モデル事業の成功から制度化へと繋げていきたい。

 また、LINE等SNSを活用したソーシャルワーク、すなわち「デジタルソーシャルワーク」をこれまで数年間実践してきたわけだが、その有用性が確かめられつつある。

 これを政策化・制度化し、全国へと広げていきたい。

 自治体や地域のマンパワー不足で、困窮する家庭はなかなか相談に繋がれない。面と向かったリアル相談だけで対応できる時代は既に終わった。デジタルの力を活用し、時間と場所に囚われない支え合いのネットワークを創っていくことが、新しい時代の福祉を創っていくことになるだろう。

 

家族編:

・娘の中学受験サポート

 もう佳境。体調管理やら何やらで大変だが、本人が受験を通して成長できるよう伴走していく。

・妻の選挙サポート

 4月の統一地方選。家事育児等もろもろ全てのしかかる。なんで娘と妻の人生の一大事が同じ年に来るのだろう。星まわりが恨めしい。

 

自分編:

・挑戦オタ活

 僕の趣味は挑戦だ。昨日より今日、良い自分でありたい。やったことのないことに挑戦し、味わったことのない感情を味わいたい。挑戦オタクと言っていい。21年〜22年は生まれてから40年間、一切関心がなかった美容とファッションに挑戦してみたのだが、一定の成果を得られた。

 同様に、これまで苦手意識の高かったコミュニケーション分野で挑戦と成長を果たしていきたい。

・健康オタ活

 人生100年時代において、心身の健康を追求していくことはとても重要だと思う。長生きしても、健康寿命が短ければ、QOLは下がってしまう。さらに、経営者は常にアスリートやアーティストみたいなもので、常にベストパフォーマンスを出せるかどうか、が問われているわけなので、自分の体と心の体調を一番良いところに持っていくための研究と実践が欠かせない。

 毎日の筋トレと瞑想、有酸素運動としてのダンス、そしてサウナ巡りを継続していきたい。

・友人との時間を大切に

 ミッドライフクライシスで苦しんでいた時に、友達はセーフティネットだ、と改めて気付かされた。たとえ家族や社員に言えないような悩みも、友人たちは肩書き関係なく受け止めてくれる。仕事にプラスになるかとか全く関係なく、生産性も意味も全く関係なく、ただ一緒にいて楽しかったり会いたいから会う、みたいな友人たちとの時間を、丁寧につくっていけたら、と。

・ミニマリスト実践

 実は綺麗好きで、モノの無い生活に憧れている。子どもがいるとなかなか実践できないのだけど、断捨離しまくりたい。

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 と、色々書いてみたのだけど、今年も超大変そうだなーっていう思いと、今年も面白そうだなーっていう思いが、ビールとジンジャーエール混ぜてシャンディガフになったみたいな感じで胸に広がっている。

 友人や仲間のみんなとは、今年も一緒にサウナと日本酒飲みに行きたいし、馬鹿な話で笑い転げたいし、いろんなプロジェクトやソーシャルアクション仕掛けていきたいし、辛い時には話聞きたいし聞かせてもらいたいし、なんだかんだごきげんに走っていきたい。ハッピーニューイヤー。

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