駒崎 弘樹 公式ブログ 提言・解説・アイディア

全裸のおっさんたちに囲まれて、悟りが訪れた件について

 

 地元のジムにサウナが付いてましてね。

 

 筋トレもしないのに、毎週サウナ入りにだけ、通ってるんですよ。

 

 その日もいつものように、サウナ、水風呂、その辺で座って目瞑ってリラックスするってのをやってたんですね。このルーティーンを繰り返すことで、整っていくわけですよ、はい。

 

 で、水風呂終わって、風呂場の脇で座って目つむってたらですね、良い感じで整ってきたんですけど、何かいつもと違うんですよ。気持ち良いだけじゃなくって、何かちょっとずつ静かになってきて。

 

 そして突然、完全なる静寂が訪れて。

 

 脳内から誰かの言葉なのか、概念そのものなのかが聞こえてきちゃって。

 

 「私の人生の目的は、愛である。成功でも達成でも栄光でもなく」

 

 それが、深い納得感とともに降りてきたんですね。そして幸せな気持ちが胸の奥から湧き上がってくるわけです。3秒なのか、3分なのか。

 

 ああー幸せだなぁ、そうだったのかぁー。愛かーーーー。

 

 ・・・ってちょっと待て。

 

 ブワッと目を開けました。

 

 周りはもう、水風呂出た時と寸分違わず、全裸のおっさんたちですよ。
 

 気持ち良さそうにしてるし。
 

 首にタオルとかかけちゃって、虚空見ているおっさんたちに囲まれて、俺に何が起こったんだ、と。

 

 まずい、おかしくなっちゃった。ちょっと、疲れすぎてるんだろう。

 

 仕事もめちゃ忙しかったし。もしかして、め、メンタルに来ちゃったのかな。

 

 急に怖くなって、脱衣所に戻って全裸のまま、友人のカウンセラーにLINEしたわけです。

 

 やばい、俺、ちょっとメンタルまずい感じになっちゃったかもです。ちょっと助けてもらえますかね、と。

 

 

 そしたら、「変性意識状態っていうんですが、(起きてると寝てるの間みたいなやつ)そこでは深い願望とかが意識上に出やすいんです」と教えてもらったんですね。

 

 あ、ヤバくなったわけじゃなかったんだ。ふぅー、良かった・・・。と安心したんですね。全裸で。

 

【愛するということ】

 

 でも、今まで一生懸命生きてきたけど、あんまり愛とか意識したことなかったよな、と。

 

 いや、家族は愛しているし、多分子どもからは愛されているけど、そこまで愛を意識化して生きてこなかったかもしれない。

 

 仕事は保育とか福祉なので対人援助な訳ですが、なんで誰もやってないんだ、誰かがやらないと、じゃあ俺がやるか、みたいな使命感ベースだったので、別に自分が愛あふれる人間だったわけじゃあないんです。

 

 そもそも愛ってなんだよ。恋愛は人並みにしてきたけど、多分、無意識が伝えようとしていたのは、そういう性愛的なものではなく、無償の愛、の方の愛のことなんだろう。

 

 そんなわけで、昔読んだエーリッヒ・フロムの「愛するということ」を読み直してみたんですね。

 

 そうしたらそこに、超訳すると「いや、お前愛されたいとか言ってんじゃねえ。愛は能動的なもので、こっちから意識的に行っていくものなんだよ」って書いてあったわけですね。

 

 それと同時に「愛を与える相手は、自分もあてはまる。自分自身をも愛せよ」と言うわけです。

 

 自分を愛する、ってどういうことだよ。

 

 いや、自分はそこそこ頑張っているとは思いますよ。まあ、ある程度成果は出してきてるしね。でもまだまだっしょ。まだまだ失敗もいっぱいだし、足りないところもいっぱいだし、全然ダメだわ。

 

 ってどうしても足りないところが見えてきちゃう。そこをどうにかしないと、成長しないと思っちゃうからね。できないことができるようになっていって、今の自分に繋がっているような。

 

 でもそうじゃなくって、ありのままの、ダメなところも、できないところもいっぱいある自分を認め、肯定していく。そうした「あえて」の努力がどうやら必要っぽい

 

 

【最後に】

 

 かくして、42のおっさんにもなって、愛とは何か。自らを愛し、他者を愛するとは、どのようにしていくべきものなのか、という人生のテーマにぶつかったのでした。全裸で。

 

 どう考えてもヤバいのですが、「人生は常に我々に何かを伝えようとしている」というV・フランクルの理論に従うと、きっとこの出来事も僕に何かを教えてようとしてくれているのではあるまいか、と思って、自分なりに取り組んでみようと思っています。

 

 友人や仲間の皆さんは、もし良かったら、飲みながらこういう話に付き合ってもらえると嬉しいです。

 

 全くオチはないのですが、強いてあげるとすると、「サウナはすごい」です。

 

 以上です。

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