ピザーラの副店長に彼女を取られたら、慶應SFCの入試問題に取り上げられた話
慶應大学総合政策学部の入試問題(小論文)に取り上げられちゃいました。
これ、自分的には結構感動なんです。
というのも、僕は大学受験の小論文に人生救われたから。
高校2年の頃に、クソみたいな高校生活をリセットしたくて奨学金取ってアメリカに留学したんですよね。
英語が絶望的に下手な自分にとってアメリカは毎日がサバイバル生活だったけど、その分生きる喜びに溢れてたんですよね。学校の授業もフル英語で辛いけど楽しかったし、生活そのものが学びだったから。
だけど帰国してから大学受験が待ってて。ほんと勉強がつまんないんですよね。こんな受験のための勉強なんて最低だぜ。家も貧乏だし、働くわ、と荒くれていました。
でも、ちょうどその頃付き合ってた色白のユリちゃんを、ユリちゃんのバイト先のピザーラの副店長だった法政大学生に取られちゃって。
ベリーショックだったから、
「よし、法政大学より偏差値の高い学校に行こう」
って考えたんです。そっから勉強し始めたんです。バカですね。
でも勉強は相変わらずつまんなくて、もうピザーラへの憎しみだけで勉強してたんですわ。
そんな時に地理の守脇先生っていうおっさんに、「おい、駒崎。小論文のゼミやるぞ。出ろ」って誘われたんです。守脇先生は、先生なのにバンドとかやってて、結構話の分かるおっさんだったので、まあいっかって言って、そのゼミに行ってみたんです。
したら、僕とあと1人、ロン毛の茶髪しかいなくて、ああなんだこれ、鑑別所かよ、と。
でもまあそこで、課題図書とか読まされるんですよね。レイチェル・カーソンの「沈黙の春」とかハンチントンの「文明の衝突」とか。
で、それをもとに議論するんですよ。守脇のおっさんとロン毛と僕で。
で、資本主義とか環境とかグローバリゼーションとか、そこにおける日本どうするよ、みたいな話を熱く語るわけですよ。そうするとわかんないことがいっぱい出てきて、分かんないことを知るためにまた本読んで、ってやるんですよ。
そんで、気が付いたんですね。
「あれ、これ楽しい」
って。
もう学ぶのが楽しくて。気づいたらピザーラへの憎しみも、法政大学もどうでも良くて、とにかくこういう勉強を、大学に行ったらやってみたいぜ、って。
そんで、入った学校が慶應SFCで。
SFCは、もう学生みんな「お前何したいの?」って聞き合ってて、やりたいことないとか言うと、軽蔑されるようなテンションで。
先生も先生で妙に体温高くて。
例えば村井純っていうよく知らないおっさんがいて、初めての授業で
「なあ、みんな。ネットで世界救おうぜ」
みたいなこと真顔で言ってて、やべえこの人ゾクゾクするわって。
誰ひとり、努力したりビジョンを語ったり真剣に議論したり、っていうのを茶化さなかった。斜に構えてなかった。
で、ここに来てよかったなって思えたんですよね。
ユリちゃんありがとう。俺は君に振られたお陰で、ここに来られたんだ。
そう、そんな慶應SFCの入試で、自分が死ぬほど苦労して創って、後に政策になった小規模保育所が取り上げられて。何千人もの高校生がそれを読んでって。
あの頃の自分に聞かせてやりたいですよ。
「なあ、お前がクソみたいに退屈だと思っているこの世界は、お前次第でゾクゾクするような世界に変えられるんだぜ。
そのためにどうすれば良いかって?
学べ、そして動くんだ」
ってね。
全ての受験生たちに、エールを。