特別支援学校での医ケア児保護者の付添い期間が短くなるための第一歩が!!
今月発表された「2021年度東京都予算の概要」によると、『特別支援学校における医療的ケア児の保護者付添い期間の短縮化』モデル事業に予算が付くことが分かりました!
これは、医療的ケア児の保護者の学校の付き添いに様々な課題があるのですが、それを解決するために予算が付いたことを意味されます。
【保護者が負担を強いられていた過去】
これまで、医療的ケア児が特別支援学校に入学すると、保護者から学校職員(主に教員や看護師)に医療的ケアの手技等を引き継ぐ(レクチャーする)必要がありました。この引き継ぎ期間が異様に長いこと(入学から半年も!!)を我々が問題視しており、かねてより、東京都教育委員(以下都教委)に対しては、もっと短くするよう要望を出しておりました。
といいますのも、我々が運営します「障害児保育園ヘレン」や「障害児訪問保育アニー」に医療的ケア児を預けて、就労されている保護者(往々にして母親)は、お子さんが特別支援学校に入学するタイミングで仕事を諦める必要がありました。つまり、引き継ぎのために6ヶ月もの間、学校で子どもに付き添う必要があるからです。結果として、泣く泣く仕事を諦める方や会社から意に沿わない異動を強いられた方を我々は見てきました。
※2019年11月11日実施 国家戦略特区配布資料より
【医療的ケアの引き継ぎ期間を短くすために!】
そこで、各地方での医療的ケアの引き継ぎについて調査をしたところ、大阪府豊中市での取り組みに注目しました。なぜなら、豊中市では学校への引き継ぎが4月いっぱいで完了していたのです。しかも、特別支援学校ではなく、普通の小学校で!(※豊中市の詳しい様子は下記のブログを参照ください。https://www.komazaki.net/activity/2019/11/post9800/)
であるならば、豊中市と同じように4月に引き継ぎを終わらせてもらうように2019年8月に「国家戦略特区」にて意見を出しました。普通の小学校に医療的ケア児が通えて、且つ4月で引き継ぎが完了しているなら、特別支援学校でもできるだろうと。しかし、その時点での都教委からは、「難しいが検討する」という返答で留まっておりました。なお、この時、特区の座長からは、「文科省の資料では、本人の自立を促す観点ばかりが強調されているが、親の就労問題に関する認識が欠けている」との指摘があり、障害児保育を行う我々は、まさにその通りだと膝を打ちました。
その後、翌年2020年2月には都教委・国家戦略特区、そしてNPO法人フローレンスが事務局を担う全国医療的ケア児者支援協議会の3者で話しあいの場も設けて、なんとか引き継ぎ期間を短縮できないかと模索し続けました。
【そして、ついに短縮へ!】
このように形で、様々な機関の多く方々のご尽力で、ようやく保護者の付き添い期間を短縮できる兆しが見えてきました!
これまでは入学後に行っていた健康観察を入学前から行い、医療的ケアの引き継ぎ準備をより早い段階から着手することで、入学後の保護者付添い期間を短縮するためのモデル事業の予算がついたのです。
このモデル事業を実施することから始まるので、今後多くの課題が洗い出しされ、解決方法が徐々に整理されていくことになります。いずれにせよ、保護者の負担が大幅に軽減されることを願うばかりです。
そして、これまで並走してくださった国家戦略特区の皆様、心より御礼申し上げます!そして、どうにか保護者のためにと奔走してくださった都教委の皆様、ここまで議論を進めてくださり、そして付き添い期間短縮化に希望の光を照らしてくださり、本当にありがとうございます!
フローレンスと全国医療的ケア児者支援協議会は、引き続き医ケア児と家族のため、謎ルールを撃破し、あるべき制度を生み出すことに力を尽くしていきたいと思います!
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