地方議員のみなさん、「こども宅食」が自治体で導入されるように議会質問してください!(議会質問テンプレートあります)
新型コロナによる外出自粛や休園・休校が解除された後、日常が戻りつつあるように見えますが、困難を抱える子育て家庭では虐待リスクが高まっています。
このため、国は、児童虐待を防ぐために今年度第二次補正予算に入った「こども宅食等」の事業(事業名は「支援対象児童等見守り強化事業」(31億円))の導入を自治体に呼びかけるとともに、この事業を継続的に実施できるように来年度予算要求も行っています。
以前も記事(https://www.komazaki.net/activity/2020/05/post10596/)で書きましたが、この事業では、こども宅食などの民間団体が、地域で孤立してしまっている家庭などを訪問し、食事の支援などを通じた子どもの見守り体制を強化するための経費を支援することとされています。全額国庫負担で、1民間団体当たり約830万円となっていて、対象世帯も自治体が柔軟に決められることになっている上、厚生労働省も、自治体職員の事務負担を軽減するために、既に導入している自治体の要綱を事務連絡で示してくれていて、かなり導入しやすくなっています。
今年8月には「こども宅食推進議員連盟」が設立され(記事参照 https://www.komazaki.net/activity/2020/09/post10875/)、稲田朋美議員、木村弥生議員、長島昭久議員を始めとする国会議員の皆さんが、地元の自治体で「支援対象児童等見守り強化事業」が導入されるように働きかけをしてくださっています。
また、こども宅食応援団(フローレンス等)も、厚生労働省の協力を得て、8月と10月にこの事業に関する自治体向け勉強会を行い、全国の「こども宅食」実施事例やノウハウ、事業実施上の課題を共有しました。
10月の勉強会では、120の自治体が参加申し込みし、うち約4割の自治体が今年度や次年度の実施決定・検討中とのことでした。社会福祉協議会や自治体と連携実績のあるNPOなどが担い手となり、多くの自治体で手が上がり始めてはいるものの、まだまだといった状況です。
そこで、地方議員のみなさんにお願いです!
地域で孤立して困っている子育て家庭に見守りの目を届け、虐待リスクを引き下げるために、「支援対象児童等見守り強化事業」が自治体で導入されるよう議会質問してください!
議会質問のテンプレートはこちら(https://hiromare-takushoku.jp/wp/wp-content/uploads/2020/11/general-question.pdf)に掲載していますので、参考にしてください。
他にも、地方議員・自治体職員向けに過去の勉強会動画や先行6自治体の事業内容のまとめ表を配布しています。希望の方は以下のフォームに記入ください。
▼議員・自治体職員向け:資料請求フォーム https://hiromare-takushoku.jp/9c1a
子育て家庭の虐待リスクが高まっています
新型コロナウイルス感染症による子育て家庭の生活環境の悪化などにより、外出自粛や休校・休園などの措置が解除された後も女性や子どもの自殺・ストレス・鬱などの数字は悪化しています(※1)。総務省の労働力調査によると、就業者数は前年同月と比べて75万人減少、5か月連続の減少となっており(※2)、経済的に厳しい状況が続いています。
今年6~7月に国立成育医療研究センターが行った調査(※3)によると、0~2歳児の親の約7%、3~5歳児の親の約12%が、コロナ前に比べて、子どもに対して、たたく、感情的に怒鳴るなどの「子どもとの好ましくない関わり」が「とても増えた」と答えています。
親の鬱や精神障害、ストレスや不安、失業等による経済不安は、いずれも虐待に至るおそれのある要因とされているため(※4)、困っているご家庭に早急に支援を行う必要があります。
支援が必要な家庭の殆どが行政サービスを利用していない
「困っているご家庭には行政サービスを提供すれば良いのではないか?」と思われるかもしれませんが、そんな簡単な話ではありません。
生活困窮家庭等への定期的な食品配送と見守りを実施する「こども宅食」の全国普及活動を行っている「一般社団法人こども宅食応援団」が今年5月にこども宅食利用者にアンケートを行ったのですが、生活に困っているにも関わらず、殆どの人が行政などの各種支援サービスを利用していないという結果が出ました。例えば、自治体の窓口で相談したことがない人が80.4%、地域の就労支援を利用したことがない人が92.3%に登りました。
https://www.komazaki.net/activity/2020/06/post10603/
どんなに困っていても、「周囲に貧困であることを知られたくない」、「自治体の窓口に行くことに抵抗がある」などの様々な理由で、必要な相談や支援などの各種サービスを受けられていない方々が多くいます。
困難を抱えるご家庭に支援を届けることができなければ、ますますご家庭の状況が悪化し、虐待リスクも高まります。このため、民間の力も活用して自然な形で家庭との関わりを作り、リスクを発見した場合には、必要な支援につなげていくことが大事だと考えます。
なお、地域での食支援・コミュニテイ作りの活動として子ども食堂もありますが、全国の子ども食堂の約半分が再開の目処が立っていないとの調査結果も出ています(※5)。
自治体で「こども宅食」が導入されるよう、議会質問してください!
「こども宅食」により、見守りの目を全国に広げるためには、1つ1つの自治体で着実に「支援対象児童等見守り強化事業」が導入されていく必要があります。
地方議員のみなさん、事業導入の必要性を議会で訴えてください!
つらい思いをしている親子が1人でも多く笑顔になるように、僕らも頑張りますので、みなさん、ご協力よろしくお願いしますっ!
※1 国内の自殺者が前年比3カ月連続増、女性と子供で顕著-コロナ影響https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-10-14/QHUZINDWX2Q401
NHK特集「産後うつ」倍増か https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201016/k10012665491000.html
コロナ×こどもアンケート 第2回調査 報告書(国立成育医療研究センター)https://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/report/CxC2_finrepo_20200817_3MH.pdf
※2 労働力調査(基本集計) 2020年(令和2年)8月分結果 https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
※3 コロナ×こどもアンケート 第2回調査 報告書(国立成育医療研究センター)p.55 https://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/report/CxC2_finrepo_20200817_3MH.pdf
※4 厚生労働省「子ども虐待対応の手引き」表2-1https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv12/02.html
※5 NPO法人全国こども食堂支援センターむすびえ https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2020/10/musubie_Q3_sheet_1020_02.pdf
新着記事トップ5
事業ニュースの最新記事
-
「こども宅食」ついに47都道府県に広がる
-
インクルーシブ・テックが、医療的ケア児と日本人全員の可能性を開く
-
フローレンスこどもと心クリニック、不登校外来・発達外来・女性のための心療内科を正式スタート!