駒崎 弘樹 公式ブログ メディア掲載

公園・学校の再開に向けたロードマップを示して!と都議に要望しました

 緊急事態宣言下で閉鎖されている都内の公園や学校の再開に向けたロードマップを都として示していただけるように、5月12日、高倉都議をはじめとする公明党都議団に要望しました(要望書は下記のとおり)。

 

 公園や学校の閉鎖が続き、親子を家に閉じ込めることは、虐待などの悲劇につながります。実際、東京都では、今年3月の児童虐待相談対応件数が2,908件で、昨年3月の2,177件から約34%も増えています

 

 高倉都議からは、公園を開放する段取りを明らかにしていきたい。」「虐待との関連はとても重要。学校も段階的にでも再開できるように都に働きかけていく。」との心強いコメントをいただきました。

 

 

 開放に向けたロードマップを示していただければ、都民の不安も軽減されるはずです。

 

 公明党都議のみなさん、今回は我々の要望を聞いていただきありがとうございました!

 

 フローレンスはこれからも、親子の笑顔のために、社会問題の解決に向けて、議会や行政に訴えていきます!みなさん、共に声をあげていきましょう。

 

※厚生労働省「児童虐待相談対応件数の動向について (令和2年1月~3月分(速報値))」

https://www.mhlw.go.jp/content/000628642.pdf

 

以下、要望書

_______________________________________________________________________________________

 

要望書

 

認定NPO法人フローレンス 代表理事

医療法人社団ペルル 理事長

駒崎弘樹

 

 ◎公園開放に向け、ロードマップを示してください

 

  • 緊急事態宣言を受けて、現在東京都立公園は封鎖されており、それに伴って23区等基礎自治体の多くの公園も使えなくなっています

 

  • また、先日5月5日の都知事記者会見においても、「国が公園や図書館は再開の方針。都は都立公園や都立図書館についてどう考えるか」という質問に対し、遠藤総務局長が「都は感染者が多いので、現在の状況の中で開けるという選択肢はとりづらい」と答えています

 

  • しかし、親子にとって公園の封鎖は非常に大きなダメージとなっています

 

  • 休園・休校で家に籠もらなければならないことに加え、公園まで奪われたら、本当に行き場所がなくなってしまいます

 

  • 親子を家に閉じ込めることで、逆に児童虐待やDVのリスクを上げています。北海道では児相通告数が1.5倍、関西のある県においてはDV通告数が2倍になっています。既にDV・虐待のリスクは上がっていると言って良いでしょう。

 

  • さらに納得性が低いのが、これまで公園がクラスタになったという事例は一つも報告されていないことです

 

  • 花見の宴会等は別ですが、子ども達が遊具で遊ぶことは三密にはあたりません

 

  • 日本小児科学会のHP上のQ&Aでも、以下のように公園等で遊ぶことは認められています


    子どもにとって遊ぶことは、心身の発達においてとても重要です。感染のリスクを下げるために以下のことを守れば、外出や子ども同士の遊びは可能です。

〈屋外における遊び〉

屋外の遊びであれば感染伝播のリスクは低いと考えられますが、以下の点を確認し注意して下さい。

・風邪症状(のどの痛み、咳、発熱など)があるときは、外出は控える

・みんながよく触れる場所に触った後は手洗いをする

・飲食の前にも手洗いをする

 

  • 薄弱なエビデンスの中、公園を封鎖することで児童虐待等、他のリスクを上げてしまっている。一刻も早くこうした状況を打開すべきです

 

  • 東京都は早々に公園開放のためのロードマップを描いてください

 

 

 ◎学校再開に向け、ロードマップを示してください

 

【3ヶ月も学校に通えない子ども達】

 

・新型コロナの感染拡大に伴い、3月2日から一斉休校が始まりました。一時期は再開が企図されたものの、4月7日の政府の緊急自体宣言に伴い、全国の学校は休校することとなりました

 

・5月2日現在、報道によると政府はさらに緊急事態宣言を1ヶ月程度延長しようとしています。またそれに伴って、休校も1ヶ月程度延長されることが予想されます。

 

・つまり、3ヶ月もの間、子ども達から学校に通う機会が奪われてしまうことになります。

 

【学校福祉を失った子ども達】

 

・これは当然学びが3ヶ月間奪われることを意味しますが、問題はそれだけにとどまりません。学校の担う福祉的な役割も消失してしまったことを意味します。

 

・例えば給食。7人に1人の子どもが貧困状態にある中、給食が唯一の栄養豊かな食事である、という子どもは少なくありません。

 

 ※日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会 新型コロナウイルス感染症に関する Q&A 2020 年 3 月 23 日

https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20200323_korona_Q_A_4_rev.pdf?fbclid=IwAR3IwWq1eRsjplbBqknJ8tiRtrnrtM7XA4ToMdyMvSc5oB2mORaqj6W3Czw

 

・また、虐待。学校に通うことで虐待やネグレクト等の不適切養育を早期に発見し、早期に対応することができますが、家庭がブラックボックス化してしまった現在、それは難しい状況です。

 

・元々半数が貧困状態のひとり親家庭では、更に54%が「収入が無くなった」「収入が減った」と回答しており、その子ども達も困窮の淵に立たされていると言って良いでしょう。

 

【専門家からも休校の有効性に疑義が】

 

・一方で、休校の有効性を否定するエビデンスも出始めてきています。

 

・4月6日に英国の医学雑誌『Lancet Child and Adolescent Health』に掲載されたメタアナリシスでは、

 

・休校措置は、インフルエンザの感染拡大防止には有効だが、新型コロナウイルスの感染拡大防止には殆ど効果はない。

 

 ・休校措置は、育児のため働けなくなった親に経済的損失を与える上、社会においても生産性低下、教育機会の損失、給食が重要な栄養補給源となっていた子供たちの栄養失調といったマイナスの影響がある。

 

 ・このため、政策立案者は、今後長期にわたりソーシャルディスタンス措置を行っていくのであれば、明確な感染防止の根拠がない休校措置よりも、よりマイナスの影響が小さい措置を検討すべきである。

 

 と提言されています

 

・さらに先日の日本感染症学会のカンファレンスにおいては、新型コロナウイルスは、年齢が高いほど、のどからウイルスを多く出し、人に感染させやすい傾向があることが分かったことの発表がありました。

 

・厚生労働省のクラスター対策班のメンバーでもある東北大学の押谷仁教授は、「のどから排出するウイルスの量は重症度ではなく、年齢に関連する傾向がある」と述べ、年齢が高いほど、他の人に感染させる可能性が高いと指摘しました。そして、高齢者から、介護や医療のスタッフ、他の入院者らに感染が広がり、大規模な院内感染などにつながると分析しています。つまり子どもから高齢者に感染させるリスクよりも、高齢者から様々な人々に感染させるリスクの方が大きいのです

 

・加えて5月1日、政府専門家会議においても「児童生徒の学習の機会を保障していくことも重要であること及びこの感染症については持続的な対策が必要であることを踏まえると(中略)学校の活動の再開のあり方について検討をしていくことが必要」と発表されました

 

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000627254.pdf?fbclid=IwAR2yBmIZbxLgZ-HiMheBxWXAYj0_oKnDJFFGO4FOGBfXrvtE2omA7e58YPo

 

【諸外国でも休校解除の動きが】

 

・デンマークでは4月15日から、保育園や小学校の再開に踏み切りました。

 

・また、ドイツでは5月4日から段階的に学校再開。フランスでも5月11日から日本の幼稚園にあたる保育学校と小学校を再開するとしており、スイスでも5月11日から小学校と中学校が再開します。

 

【要望案】

 

・学校福祉を奪われ、厳しい状態にある子ども達を救うため、日本でも学校再開を検討してください。

 

・その際、以下のような具体策が考えられます

 

1)原則的には学校を再開し、子ども達は以前のように通学する。しかし、家庭に高齢者や基礎疾患者がいる場合は、保護者が在宅学習を選択できる

 

2)在宅学習を行う子ども達のために、PCやモバイルルーターを無償貸与する等、手厚いサポートを行う。さらに、訪問(アウトリーチ)型の教育支援員による訪問支援を行い、オンライン教育で欠落しがちな学びを補う

 

3)学校現場においては、マスク常備や消毒、集会取りやめ等、感染予防対策を徹底する。さらに時間帯や曜日を分けた分散登校から徐々に開始していく

 

4)学校における感染者が出た場合は再休校を行い、当該児童が回復した場合、また学校再開をする、というような柔軟な対応を行う

 

5)文科省の通達にのっとり、今年中に、授業時数を確保する必要は必ずしもないという方針を的確に現場に伝え、子どもたちの心身の健康と学習の遅れを支援する

 

6)学校再開した際、休校期間中の家庭の学習支援力により、学習の進度はばらばらな状態で子どもたちは通学する。可能な限り、現状の到達度を把握し、遅れている子には学習支援スタッフや民間の手も借りながら、サポートを行える策を検討する。

 

◎賛同人

 

・今村久美 NPOカタリバ 代表理事・文科省中央教育審議会 委員

・乙武洋匡 作家

・小林りん ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン理事長

・駒崎弘樹 医療法人社団ペルル理事長・認定NPO法人フローレンス代表理事

・塩崎彰久 弁護士・長島・大野・常松法律事務所パートナー

・白井智子 新公益連盟 代表理事

・宋美玄  産婦人科医・丸の内の森レディースクリニック院長

・中室牧子 教育経済学者・慶應義塾大学 教授

・牧浦土雅 Degas株式会社 代表取締役

・松田悠介 一般財団法人あしなが育英会 理事・文科省中央教育審議会 臨時委員

・三浦瑠麗 国際政治学者

 

以上

HOMEブログトップへ