駒崎 弘樹 公式ブログ 事業ニュース

NPO業界リーディングカンパニーのあるべき姿とは?新しい「理事会」体制を模索中です!

NPO法人が、組織運営の観点で、株式会社と大きく違うところの一つである、「理事会」という仕組み。

フローレンスでは、この「理事会」という体制づくりにおいて、業界の中でも最先端を行く、新しい取り組みを開始しています。

ところで、この取組みについてお話するまえに、「理事会」ってそもそも何なの?ということをお話したいと思います。

 

理事会って?株式会社とは異なるNPOの意思決定機関

株式会社が、会社の大きな意思決定をしていくところが、「株主総会」と「取締役会」で構成されるところ、NPO法人は、「(社員)総会」と「理事会」で構成されます。

「(社員)総会」でいうところの「社員」というものは、株式会社の「社員」とは違い、NPO法上構成員として10名以上必須とされる「正会員」のことを指します。

対応表は以下のようなイメージです。(※あえていうなら、という対比です)

「正会員」は有料でも無料でも、NPOそれぞれで規定すればよく、ひらべったく言ってしまえば、誰もが「正会員」にはなれます。また、「正会員」は「従業員」と兼任が可能なので、フローレンスではマネジャー以上のスタッフが「正会員」となる形をとっています。

 

ガバナンスの観点で理事会が持つ意味とは?

株式会社では、「株主総会」に普段は職務執行にかかわらない「株主」が集まっています。しかしNPOの場合「社員総会」は、社外の人がいない構成となっていることが多いのです。株式会社の「株主総会」ほどには、外部からのガバナンスが効かない可能性がある、というリスクがあるとも言えます。

そこでNPO法人には、「理事会」という組織体を置くことが定められています。「理事」は、同じ組織に属している人が、理事全体の人数の1/3以上含まれてはいけない理事の任期は2年まで、とNPO法上で規定されています。

ですので「理事会」は必然的に、外部の人間が2/3以上で構成されることになります。この「理事会」という仕組みをもって、NPO法人の経営に、外部のガバナンスが働くことを担保しています。NPO法人の代表だけが権限を持ってしまうことや、ワンマンに動かすことがないように規制しているわけですね。

 

しかし、理事は再任自由

ところが。

先程話した「理事の任期は2年まで」という規定には、もうひとつポイントがあります。

NPO法において「理事の再任は自由」なのです

NPO法人は、そもそもが運営事例が株主会社に比べて極端に少なく、かつ、運営について、ギリギリのリソースで行っているところが多いため、現実のところ、

「一度就任した理事が、2年後も再任を繰り返し、何年経っても、同じ人が理事であり続ける

ということが起こりえます。

そして実のところ、リソース不足から、このように理事の再任を繰り返しているNPOもとても多いというのが現状です。

そうすると、NPO法人の経営は、ずっと固定メンバーで運営され続けることになり、「外部からのガバナンス」という側面が発揮されにくくなります。風通しがよくならない、とでもいいましょうか。場合によってはだんだん、「なぁなぁ」になってくる恐れもあります。

 

想いに共感し支えてくださった理事の皆さんに感謝をしながら

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フローレンスも、設立からずっと同じ方が、何回も再任を繰り返して理事であり続けてくれました。

無報酬にもかかわらず、フローレンスに貢献してきてくれたことへは、多大なる感謝しかありません。皆さんのご助言なくして、いまのフローレンスはありません。スタッフ一同本当に、心から感謝しています。

しかしながら、NPOのリーディングカンパニーであるフローレンスが、次のステージに進んでいくためには、より客観性の高いガバナンスの強化が欠かせません。

団体設立から14年。解決しなければいけない社会問題は日本にまだ数多くあります。フローレンスのこれからを見据え、数多くの議論を重ねて、理事会の体制と運営を刷新することを決めました。

 

ガバナンス強化と、専門性を軸にしたアドバイザリー体制

2018年度より、フローレンスの理事は、法律上に記載の「任期2年」を遵守し、再任を行わない運営とすることになりました。

しかし2年ごとに全員の理事が変わることで、経営の継続性が損なわれるリスクもあります。そこで、原則6人の理事枠のうち、1年ごとに3人ずつ新規就任と退任を繰り返すサイクルとすることにしました。参議院選挙のような、半分ずつの入れ替わりをしていく体制です。

経営課題と理事会運営の継続性を維持しつつ、毎年理事・監事メンバー構成が刷新されるようになり、より質の高い理事会運営が可能となります。

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この、新規の理事会運営にあたっては、さらなるメリットがあります。

フローレンス事業において必要とされる、各専門性を持った方に理事になっていただくことで、課題に対してより適切で質の高いアドバイスをいただけるようになるということです。これにより、より効率的な経営を目指すことができます。

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理事のお一人お一人の知見をしっかりとインプットさせていただくため、「理事会分科会」として、理事の方に特定の議題をご相談・ディスカッションしに行く、ということもしております。

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新任理事一覧

2019年2月時点の理事の方々は、この表の通りです。

これだけの専門領域別に、有識者の皆様にご参画いただいているというのは、本当にありがたいことです。

昨年10月には、実際に分科会として、理事の皆様のオフィスまで、フローレンスの経営課題についてご意見を伺いに行かせていただきました。

各ディレクターから課題を感じているアジェンダを上げ、分科会にて理事にお会いして、その質疑応答をしてくる、というスタイルです。理事の皆さまそれぞれの分野で知見が深く、アイディアが豊富で、とても有意義なアドバイスをいただけています。

 

さいごに

とはいっても前例もなく、新しく始めた理事会運営は試行錯誤だらけです。そんな正解の形が見えない中でもコミットしてくださる理事の皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

これからも、NPOのリーディングカンパニーとして、地道に社会問題の解決を続けながら、新しい取り組みを積極的に行なっていきたいと思います。どうぞこれからもフローレンスを応援よろしくお願いいたします。

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