子どもの虐待防止に向けたフローレンスの3つのアクション【児童虐待防止月間】
1 1月は「児童虐待防止推進月間」です。厚生労働省は5日から虐待防止を訴えるオレンジリボンのイルミネーションを始めました。
昨年度、全国の児童相談所が対応した虐待の相談件数は、13万3778件と27年連続で増加しています。虐待死の数も年間50人前後から毎年減っていません。
相次ぐ子どもの虐待事件と全国規模の署名運動などを受け、政府も「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」を打ち出し、自治体は懸命に動いています。
しかし、様々な関係者があらたな仕組み・制度づくりに奔走する今この瞬間も、辛い状況にある親子がいます。
そんな親子を支えるため、児童虐待や不適切養育という社会問題への解となるモデルを目指し、フローレンスはいくつかの事業を実践しています。
児童虐待を防止するため行っているフローレンスの取り組み
(1)赤ちゃん縁組事業
子どもの虐待死の中で一番多い年齢は0歳児、その中でも産まれたばかりの0歳0日児が大半であることをご存知ですか? 2週間に1人、産まれると同時に遺棄されるなどして亡くなっています。
この問題を解決するために、フローレンスは「赤ちゃん縁組事業」を2016年から開始しました。
予期せぬ妊娠に悩む女性からの相談を聞き、適切なアドバイスをし医療・福祉機関につないで支援しています。
出産後、お母さんが望んだ場合は、特別養子縁組の制度を使って育ての親を希望する夫婦に赤ちゃんを繋ぐ事業です。
現在までに、約1300名の相談に乗り、13組の新しい家族が生まれました。
(2)経済的に苦しい家庭の支援(こども宅食、病児保育ひとり親家庭サポート)
子育て中の親が社会的・経済的に孤立すると、虐待につながるリスクが高まります。日本では7人に1人子どもが相対的貧困状態にあると言われており、経済的な苦しさは親子を苦しめる原因のひとつです。
「こども宅食」は、フローレンスが複数のNPOと自治体(文京区)と共同で行っている事業です。文京区内の経済的に苦しいご家庭に、2ヶ月に1度米や調味料、缶詰、お菓子などの食品を宅配しています。
実はこの事業は、食品を届けることだけが目的ではありません。
高齢者の見守り事業で培ったノウハウを持つ運送会社、ココネット㈱がご自宅に直接食品を届けますが、その際にはご家庭の困りごとを聞き、必要に応じて行政の制度や施設といった社会資源につなげていくことを目指しています。
また、定期的にLINEをメインとした気軽なツールでアンケートを取ること等をきっかけに、いつでも子育ての悩みを相談できる窓口をオープンにし、必要な支援につなげるなど、家庭のリスクが高まることを防いでいます。
なお、フローレンスが子どもの貧困解決と親支援を始めたのはちょうど10年前。
「フローレンスのひとり親支援」という事業をきっかけにしています。相対的貧困率が高いと言われるひとり親家庭が仕事を失わず安心して働けるよう、寄付を原資とした安価な病児保育サービスを届けて、10年でのべ1000名を支援してきました。寄付者の人数は約2400名にものぼります。
(3)保育ソーシャルワーク
東京都内と仙台市に18の保育園を運営するフローレンスでは、保育園の中だけにとどまらず、家庭をより積極的に支援する「保育ソーシャルワーク」を始めました。
きっかけは、過去にフローレンスの保育園に通うお子さんのご家庭で、不適切養育のリスクが高いケースがあったことです。園と事務局、行政など関係機関で情報を連携しながら、ご家庭への支援を行いました。
家庭のリスクに気づき、早い段階で支援するための取り組みが必要であることをその経験を通して知りました。保育園や幼稚園、小学校、学童クラブ、そうした場所は子どもの様子を毎日見ることができ、もっとも早く支援が必要な家庭にアクセスできる窓口です。
現在は東京と仙台それぞれ1人ずつソーシャルワーカーを配置し、巡回などを通して園との連携と情報の共有を行っています。(詳細:児童虐待をなくすための、保育園の新しい役割とは。「保育ソーシャルワーク」始めています)
保育園にソーシャルワーカーを配置するという取り組みはとてもめずらしいことです。
制度化されていない保育ソーシャルワーカーの配置に対する補助はなく、フローレンスが費用を持ち出しで採用・配置をしています。
私たちの取り組みで保育ソーシャルワークの事例を作り、将来的には、各保育園にひとり、あるいは子ども人数あたり何人、といったかたちで、保育ソーシャルワーカーの配置が制度化されるよう、働きかけを行っていく予定です。
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