また一つ、NPO排除の岩盤に一穴が空いた件
以前、公明党の山本香苗議員が、経産省の「ものづくり補助金」という、研究開発やテクノロジーを使ったサービス改善などに使うことができる、1000億円規模の予算がついている補助金が、なぜか企業に限られていて、NPOは排除されていることについて、国会で突っ込んでくれたことを紹介しました。
「全NPOが泣いた!」国会質疑2018:山本香苗 vs 世耕弘成
https://www.komazaki.net/activity/2018/02/post7464/
世耕大臣がアドリブで官僚答弁を放棄し、「NPOだって利益を出して良いんだ」(=だから中小企業と区別する必要ないよね)と答えたこのやりとりは、「全員ボランティア」と誤解されがちなNPOについて、国会レベルでも理解が深まっていることを示すケースとして、多くのNPO関係者を勇気づけました。
その後、突っ込まれた世耕大臣及び経済産業省は、言っただけに終わらせず、具体的に動き出しました。
いつもはNPOと縁遠い、ものづくり補助金担当者の課長が、いくつものNPOに行ってヒアリング。現場のニーズを確認して回ったのでした。
そして国会質問から約半年の8月3日。
この1枚のペーパーが公表されたのでした。
ものづくり補助金のNPO法人追加について
中小企業と同じ競争条件で革新的な事業活動に取り組む者を支援する観点から、以下の要件を満たすNPO法人については、ものづくり補助金の2次公募から申請対象に加えるものとする。
①法人税法上の収益事業を行うNPO(ただし認定NPOは対象外)であって、補助事業に係る「経営力向上計画」の認定を受けること
または、
②中小企業を含む複数事業者による共同申請であって、NPOが数で半分以下、金額が総額の3分の1以下かつ最高額でないこと
であって、中小企業と同等の要件(**)を満たすこと
(**)「3〜5年で付加価値額年率3%及び経常利益年率1%の向上を図る計画」を有すること、従業員が中小企業の範囲(300人以下)に当てはまること、等
これで、より良い社会課題解決手法を研究開発したいNPO、ICTを活用して、課題解決の生産性を高めたいNPOたちに大きくチャンスが開かれることかと思います。
なお、今回のものづくり補助金の対象拡大については、NPO法人シーズの関口宏聡代表が懸命に尽力されたことをここに付します。
最後に全くどうでも良いですが、本件への政策提言やヒアリングへの協力等頑張ったものの、「認定NPOは対象外」「従業員が300人以下」という足切り条件によって弊会認定NPO法人フローレンス(従業員約600人)は応募すら叶わず、今回も個人的メリットは一つもありませんでしたが、ソーシャルセクター全体への愛溢れる私には、そんなことは関係ないのでした。現場からは以上です。