社用メールアドレス体系の変更と、「呼ばれたい名前で呼ばれる」ことの意味
人からどう呼ばれるか。それは子どもから大人まで、個人のアイデンティティに関わる重要なテーマです。
2017年4月から、フローレンスでは新しく入社するスタッフに割り振るメールアドレスの体系を変更しました。
たかだか十数字の文字列ですが、メールアドレスの体系変更には意図があります。そのひとつは業務における利便性ですが、それだけでなく、最近話題になっている選択的夫婦別姓など、個人のアイデンティティや多様性にも関わります。
今回はそのメールアドレス体系変更と、そこに込められた意図についてご紹介します。
ファーストネームとフローレンスWAYで作る、新しいメールアドレス
もともとフローレンスは、
名前の頭のアルファベット一文字と、姓のローマ字をハイフンでつなぐ
というメールアドレス体系でした。
たとえば、
石井 十次(いしい じゅうじ)
であれば、
j-ishii@florence.or.jp
というメールアドレス。こういったアドレス体系を使っている組織は多いと思います。
新しいメールアドレス体系では、
名前のローマ字と、フローレンスWAY(フローレンススタッフの行動指針)のうちひとつの略字をドットでつなぐ
というものになりました。
具体的には、
糸賀 一雄(いとが かずお)
であれば、
kazuo.str@florence.or.jp
といった具合です。
アドレスに使う略字と、それが示すフローレンスWAYは以下のとおりです。上のアドレスの場合「戦略脳、フル回転!」に当たる”str”が使われています。
TFL:チームフローレンスでいこう!(Team Florence)
GNB:飛び込め!われらの現場に(Genba)
MAE:ゴーゴー!”前のめり”(Maenomeri)
STR:戦略脳、フル回転!(Strategy)
IDE:アイデア相撲をとれ!(Idea)
BLA:ハートと生産性の両輪で走れ!(Ballance)
RSP:リスペクトのレンズを着け、世界を見る(Respect)
INV:変革者たれ(Innovator)
このうちいずれかの略字を、入社時にランダムで割り振られ、メールアドレスが作られます(いずれ本人が選べるようにすることも検討中です)。
2017年4月以降に入社したスタッフは、こちらの体系で作られたメールアドレスを使っています(一部スタッフを除く)。また、以前の体系のアドレスを利用しているスタッフも、希望すれば新しいメールアドレスを利用してよいことになっています。
メールアドレス体系を変更した理由
フローレンスでは、結婚や離婚、その他の事情で、社内で名乗る姓を変えたい、選びたいという要望がスタッフからあった場合、原則として本人の希望に応じて社内呼称やメールアドレスを変更しています。
メールアドレスが変わると、社外の方とやり取りする際に改めて連絡が必要になったり、業務で利用しているツール(特に、オンラインのもの)へのログイン情報などが変更になり、多少の業務リスクが発生します。
もちろん、そういった業務リスクよりも、本人の社内での呼称についての要望に応えるほうが重要であるという考え方から、メールアドレスの変更もOKとしているのですが、できるなら業務リスクは減らしたほうがよい。そういった背景が、結婚や離婚でも変わらない、ファーストネームをメインにしたメールアドレス体系に変更した理由のひとつです。
なお、メールアドレス体系変更については、2016年に千葉市の市職員のメールアドレスを、同じようにファーストネームをメインにしたものに変更したという施策を参考にさせていただきました。
担当者の方にインタビューもさせていただいています。
呼ばれたい名前で呼ばれるということ
フローレンスでは、入社時に旧姓の使用を希望するスタッフも少なくありませんし、副業で使用しているビジネスネームを使いたいといった場合もあります。そういった希望がある場合は、旧姓やビジネスネームを社内での呼称として利用することができるようにしています。
また、在日外国人やセクシャルマイノリティの方など、それぞれの事情に応じて、通称も利用できるようにしています。
名乗る姓名はその人のアイデンティティであり、それゆえ本人の希望を受け入れることは多様性の象徴でもあると、フローレンスは考えています。それが、メールアドレス体系の背景にあるもう一つの理由です。
ちょうど、選択的夫婦別姓制度について、サイボウズの青野慶久社長が国を相手取って訴訟を起こしたことが話題になっています。
結婚に際して、姓を変えてもいいし、変えなくてもいい。たったそれだけの、「本人が名乗る姓を選べる」ということが、社会の多様性を高めることにつながります。フローレンスとしても選択的夫婦別姓の制度に賛成であり、青野さんの活動を応援しています。
「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」を実現するために活動するわたしたちは、こうした身近な取り組みから一歩一歩、多様性が輝く日本を目指していきたいと思います。
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