どうせ「幼児教育無償化」するなら、「義務教育化」を
12月8日、所得に関係なく認可保育所・幼稚園・認定こども園に通う全ての3歳~5歳の保育料が無償化されることが閣議決定されました。
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当初より「無償化よりも全入化」として、優先順位の見直しを提案し続けて来た立場として、待機児童問題が解決しない状況での無償化には今でも反対です。
ですが、無償化が既定路線になった今、これを無意味なバラマキにしないための方策を検討することが、子ども達にとって重要なことであるという認識に至り、対案を考えました。
それが、「無償化から義務教育化へ」です。
【教育からこぼれる20万人の子ども達】
現状、5歳児の98.5%は保育園か幼稚園に行っている状況ですが、4歳だと保育園にも幼稚園にも行っていない子どもたちが4万人強、3歳児においては約13万人存在していることになります。
幼児教育を受けられていない3歳以上の子ども達が、実は合わせて20万人近くいるのです。
【児童虐待発見に大きく貢献する保育所・幼稚園】
乳幼児期は虐待の発見は近隣の善意の人々の通報に任せられてしまいますが、子どもが保育所や幼稚園に通うようになると、保育所・幼稚園が虐待発見に大きく貢献することが、東京都福祉保健局のデータからも見て取れます。
保育所・幼稚園に通園することで、子ども達への児童虐待リスクを低下させることができると考えられます。
【障害の早期発見と早期支援に貢献しうる】
自閉症やADHD等の発達障害を早期に発見し、早期に支援をしていくことは、障害児のその後の人生において非常に重要であることが、昨今明らかになってきています。
保育所や幼稚園は、日々多くの時間を過ごすことで、子どもの特性にいち早く気づくことができます。
現に、金沢大学の研究によると、保育所において障害診断確定未満の「気になる子ども」がいると回答した担当保育士の割合は、全体として83.6%に及んでいます。
文部科学省によると発達障害児の割合は6.5%、米国政府統計によるとADHDの子どもは11%であり、幼稚園や保育園に通っていない子ども達20万人の中にも、およそ2万人の子ども達に発達障害があることが推定できます。
こうした子ども達の中には、早期発見・介入に繋がらず、小学校に入って初めて教師が気づき、そこから対応がなされる事例も多くあると考えられます。
子どものその後のより良い人生を考えると、小学校入学以前に支援体制が取られていることが、より望ましいことは明白です。
【国際的な状況】
先進諸国と比較すると、日本の義務教育期間9年というのは、長いわけではありません。ドイツ・ベルギー・オランダ、アメリカやカナダの一部の州では13年、イギリスやノルウェーでは11年です。
また、義務教育の開始年齢は、イギリスでは5歳から、そしてアメリカのほとんどの州、ドイツで5歳から入学が可能になっています。
さらに、フランスでは保育学校( Ecole Maternelle )が3歳から始まり、ほぼ100%の子ども達が通っています。(保育学校の提供はフランス教育法典で定められた自治体の義務)
【世界で最も義務教育に熱心な国へ】
特に保育園にも幼稚園にも行けず、家庭の経済力や保護者の意識によって左右されてしまう子ども達は、最もvulnerability(脆弱性) が高い層であると思います。
こうした子ども達を早期に社会的支援の網の目で支えていくことが、ひいては安倍政権の目指す「人づくり革命」を推進することになっていくのではないでしょうか。
かつ、義務教育化しても、3歳から5歳の保育園枠は比較的空いているため、今回の無償化コスト以外の、追加的な整備コストがほとんどかからない、という利点があります。
「3歳から義務教育」とすることで、バラマキ感を払拭し、なおかつ人材投資において世界最先端を走ることができるようになるのではないでしょうか。
安倍総理。どうせ幼児教育無償化するなら、義務教育化、してみませんか?