駒崎 弘樹 公式ブログ 提言・アイデア

小泉進次郎さんに伝えたこと

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 小泉進次郎議員を中心とした自民党の若手の方々が、次なる社会を構想する2020年小委員会に行ってきました。一度レールから外れると、やり直しがきかない。そんな日本の社会のあり方を変えよう、「レールをぶっ壊す」ことをしよう、と大胆な提案をされようとしています。

 そんな中で、「子育て支援は成長戦略」と銘打って、プレゼンして参りました。
 簡単にシェアしたいと思います。
【子育てと支援と経済成長の因果関係】

 よくある政治家の方の誤解として、「子育て支援は福祉であり、財源に余裕があればやるもの」 という言説があります。しかし、これは間違いです。子育て支援は、成長戦略なんだ、と。

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 この図は、柴田悠京大准教授が、ご著書「子育て支援が日本を救う」(来月刊行)で書かれていることですが、保育サービス等の子育て支援は、女性労働力率を向上させ、労働生産性成長率を高め、よって1人あたりGDP成長率を押し上げます。これは、数年単位の短期スパンで得られる効果です。

 また、保育サービスの強化は、出生率も上げ、それによって長期的には高齢化率が下がります。高齢化率が上がると技術習得により時間がかかることから労働生産性が下がるのですが、逆に高齢化率が下がると労働生産性が上がるので、それがGDP成長率に寄与する、というわけです。これは、数十年単位の長期スパンで得られる効果です。
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 (ちなみに公共工事の乗数効果が1.1ですが、柴田准教授によると子育て支援の乗数効果は短期的でも2.3となり、2倍近く良い成果を出すわけです。)


【就学前教育(保育)の投資対効果は高い】

 これらは「(若い)働く人が増える」ということで、経済成長率が上がる、という話ですが、労働者の質も上がるのだ、ということが、次の有名なノーベル経済学者のヘックマンが紹介するペリー実験の結果から言えます。

 「ペリー実験」とは、1960年代のアメリカにおいて、低所得の幼児達に質の高い幼児教育(保育)を提供し、40年間追跡調査をしたものです。
 その結果、大変興味深いことが分かりました。質の高い幼児教育(保育)を受けた子ども達は、大人になってから、より所得が高く、持ち家率が高く、生活保護率も低いことが分かったのです。
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 費用対効果にして、およそ3.9倍〜6.8倍にもなったのです。質の高い幼児教育によって、子ども達はより良い人生を送ることができ、さらに社会も税収増や生活保護率の低下によって、「得をした」というわけです。


【日本は子育て支援に金をかけていない】
 このように、「経済も社会も得をする」子育て支援ですが、日本はどのくらい子育て支援に投資しているのでしょうか?それを表したのが、次のグラフです。

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  各国の家族関係支出の比較です。家族関係支出というのは、子どもや子育てを支援するための、公的な支出のことです。
 少子化を克服したフランスが対GDP比において2.85%、スウェーデンが3.46%なのに対し、日本は1.3%。
 フランスの半分弱ですし、スウェーデンの4割程度。
 つまり、子どもや子育て、次世代に全然投資していないのです。


【国が金をかけていない代わりに親が負担】

 学校教育においても、投資対効果が3.9倍〜6.8倍の就学前教育への公的支出割合は、先進国の中でも最下位
 投資対効果が2.4倍の高等教育においても、家庭に大きな費用負担を押し付けているのが、このグラフから分かります。
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【0歳児に150万・100歳に500万】

 一体、どこにお金を使っているのでしょうか。年齢別1人あたりの政府支出を見てみると、分かります。
 「世代会計の手法を活用した政府支出の長期推計と財政再建規模の分析」(北浦修敏)によると、0歳児への政府支出が150万円なのに対し、100歳には500万円が支出されています。
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 高齢者にかけるな、とは言いませんが、バランスは明らかに修正が必要です。
 しかし、なるべく世代間対立にならないように留意が必要です。高齢者から若者によこせ、ではなく、持てるものから持たざる者への再配分、という視点が大事です。
【財源は相続税と高所得者の配偶者控除撤廃】

 そう考えると、考えうる財源策は、以下のようなものになるのではないでしょうか。
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 相続税の課税ベース拡大と、高所得者の配偶者控除撤廃。相続税は、亡くなる人から、次世代への所得移転ということで、子育て支援と紐付けるには、趣旨も合っています。また、配偶者控除も、妻が専業主婦の高所得者層を優遇する必然性は薄れてきており、それをあまねく子ども・子育て支援に使っていく方が、公益には資すると思います。
 このように、自民党の若手の皆さんには、少子化を生み出す、子どもと子育て支援への「過少投資の罠」を社会保障改革によって打破して頂き、持続可能な日本に軌道修正させていって頂きたいな、と強く思っております。
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