【UserVoice】vol.1「障害児訪問保育アニーが私を社会に戻してくれた」
2015年4月よりスタートした「障害児訪問保育アニー」は、これまで保育園に入れなかった重症心身障害児や医療的ケア児のための、日本で初めての訪問保育事業です。保育スタッフが家庭に伺いマンツーマンで保育するため、慣れ親しんだ環境でそれぞれにあった保育と訪問看護サービスを受けることができ、障害児の保育不足問題を解決する一端を担います。
テレビ局で管理職として働きながら、「障害児訪問保育アニー」に4歳(2016年2月現在)になる娘さんを預けているお母さん、丸茂 礼さんにお話を伺いました。
■保育園は「チューブがついていると難しい」という理由ですべて断られる
娘は、約4ヵ月の早産で、出生体重487gの超低出生体重児として産まれました。NICUに10ヶ月半入院し、呼吸器と酸素を持って退院しました。それから一年半の在宅治療を経て、2歳半のときには、呼吸器から離脱することができました。
酸素を使わずに呼吸も安定した状態で過ごせるようになったので、夏ごろから翌年4月の復職を目指し、保育園探しを始めましたが、その時にはまだ、経管栄養のチューブがついていました。
このチューブは、鼻から胃に通している細いチューブで、口からでもペースト食であれば食べられるんですけども、どうしても一日の栄養が足りなかったり、水分が取れないときに使っていたものです。(2016年現在ではチューブを外して過ごしています)
復職を検討する際にネックになったのがこのチューブです。
娘を連れて何園もの保育園に入園相談しに行き、「保育園で過ごす時はチューブからの注入なし、朝と夜に自宅で注入をする」という方法で提案をしたものの、やはり「それでもチューブがついている場合は受け入れられない」と、相談にいった保育園は全て断られてしまいました。娘をどこにも預けることができないという絶望的な状況下、復職をあきらめかけていたのです。
■駒崎のFacebook記事で知った「障害児訪問保育アニー」立ち上げ
保育園に断られ続け、策も尽きたころ娘は既に3歳、娘の妹の育児休暇をつなげ4年間の休業状態で日々をしのいでいましたが、娘の医療的ケアにまつわる親の精神的、肉体的負担は想像以上に大きく、育休期間はあっという間に過ぎていきました。
このまま復職を諦める覚悟を固めた頃、たまたまフローレンス駒崎代表のFacebook記事で「障害児向け訪問保育事業を使いたい方はいますか?」という問いかけがあり、藁をもつかむ思いで手をあげました。
そこからヒアリング等幾重のハードルを越え、2014年、フローレンスの働きかけにより居住自治体で訪問型保育事業をスタートすることが決定し、晴れて利用者第一号となったのです。これにより2015年4月下旬の職場復帰に間に合わせることができました。
■「障害児訪問保育アニー」が私を社会に戻してくれた
アニーはものすごく画期的な素晴らしい事業だと思います。
特に娘のように医療的ケアが必要であったり、保育園の何歳児という決まった枠にはまらない、個別な対応が必要な子にとって、保育スタッフに自宅に来ていただき、なおかつ訪問看護の分野でもフォローしていただける事は今だかつてない内容です。なおかつ8時間という長時間保育が可能ということは、仕事に戻りたくても戻れなかった障害児を持つお母さんたちの希望になると思います。
また何よりも、娘自身がアニーの保育スタッフさん達にとっても愛されており、また娘も保育スタッフさん達を心より信頼している。親子ともども、アニーのスタッフが来るのを楽しみにしており、アニーのスタッフが来ると、娘は笑顔で迎えるようになりました。
アニー保育スタッフと遊ぶ娘さん
きっとアニーは、将来的には「何でいままでこのような事業がなかったのかしらね?」とみなさんから言われるような、全国にあって当たり前の事業になると確信しています。
1年前までは絶望的だった復職。しかし今ではやりがいのある仕事に戻ることができました。
私を社会に戻してくれてありがとう。
フローレンスには、病児保育しかり、障害児保育しかり、過去あり得なかった事を、当たり前にしていく志とパワーを感じています。
これからも、新しいあたりまえをすべての親子に届けていってほしいと切に願います。
※「障害児訪問保育アニー」