里親や特別養子縁組の養親でも育休取得が可能になりました!
こんにちは!ハタカク(働き方革命事業部)の橋本です。
ここ数日、急に気温が下がり、秋の気配が感じられるようになりましたね。
さて、今回は、フローレンスの就業規則改定のご紹介です。
その内容は、特別養子縁組によって親になったカップルである養親や、里親の育児休暇取得を認めるというもの。
どのような背景で改定を行ったのか?そもそも特別養子縁組とは?なぜ養親は育児休暇がとりづらいのか?などなど、働き方革命事業部の山口マネージャ(人事・法務・総務担当)と宮崎事務局長にインタビューを行いました。
さまざまな家族のかたちを応援したい!というフローレンス人事チームの想いが詰まった就業規則。
その想いが伝わってくるインタビューとなりました。
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■特別養子縁組の試験養育期間をカバーする育児休暇が取得可能に
―今回の就業規則改定について、どのような改定内容なのか教えてください。
(山口) 今回改定したのは、就業規則のうち、育児休暇取得についての記載です。
これまでは、養子を育てる親の育休に関しては特に記載がなかったのですが、今回の改定で、就業規則に「子どもの範囲」についての記載を明記しました。
内容としては、実子や、特別養子縁組による養子だけでなく、子どもとして養育されている実態があれば育児休暇が取れる、という制度になりました。
社内では2015年の5月1日から施行されていて、役所への届け出は6月に行っています。
ポイントになるのは、特別養子縁組の試験養育期間でも、育児休暇が取れるということですね。
(▼改定前の就業規則抜粋)
(▼改定後の就業規則抜粋。赤枠内が追記。子どもの範囲についての記載が追加された)
―特別養子縁組ですか。ニュースなどでときどき聞きますが、どういった制度なのですか?
(宮崎) 特別養子縁組は、民法の「普通養子・特別養子に関する法律」で定められている制度で、何らかの理由で生みの親が育てることができない子どもを、養育するカップルが引き取り、実子、つまり生んだ子どもと、法律上同じように扱うことができるというものです。
子どもの福祉のための制度なので、「跡取りがほしい」などの理由で行う普通養子縁組とは目的が異なるものです。
ちなみに特別養子縁組で子どもの親となったカップルを養親と呼び、児童相談所など行政からの委託で子どもを預かる立場である里親とは、呼び方を区別することが多いです。
今回の改訂にあたり、特別養子縁組についていろいろ調べてみたのですが、ケアが必要な子どもの養育については、国際条約などでも、家庭環境での養育が推奨されているんです。
特別養子縁組は、まさにその、保護が必要な子どもを、家庭環境で養育が受けられるようにする、とても重要な仕組みですね。
(▼宮崎事務局長)
―そういえば先日、厚生労働省が、同じように「特別養子縁組の養親でも育休を取れるようにしよう!」という方向で動いているというニュースがありましたね。
(山口) そうですね。今回の就業規則改定とも関係はありますね。
育児休暇について定められている育児・介護休業法では、子どもが1歳になるまでの育児休暇取得を認めています。
特別養子縁組も、縁組が正式に認められれば、法律上実子と同じになるので、問題なく育休取得権利が得られるのですが、実は、特別養子縁組制度では、法律上親子関係が認められるまでに、6ヶ月間の試験養育期間が必要になるのです。
養親となるカップルが、ちゃんと子どもを養育できるかを見極める期間なのですが、問題なのは、その6ヶ月の試験養育期間のあいだは、まだ法律上の親子ではないので、育児休暇が取れないということです。
生まれたばかりの赤ちゃんを縁組で引き取るケースも多いのですが、養親が働いている場合、「赤ちゃんの面倒をみなければならないのに、会社は休めない」ということになってしまいます。
当然ですが養親はとても困りますよね。実際、試験養育期間は、養親自身ではなく、別の人に子どもの面倒を見てもらう、といったケースもあるのだそうです。
(宮崎) そもそも、共働き家庭が養親になることを考慮していないという問題もありそうですね。
育児休暇が取れないというのは、2段階の問題があって、ひとつは、国が育児休暇の権利を与えていないということ、そしてもうひとつは、国が認めていないので、企業も社員に対して、試験養育期間の育児休暇を認めないケースが多いということです。
先日の厚労省の動きは、前者の、国の制度についての問題を解決しようというものです。
今回のフローレンスの就業規則改定は、後者のケースをカバーしようとするものです。つまり、国はまだ認めていないけれど、まず会社として、試験養育期間でも育児休暇を取れるようにしよう、という考え方ですね。
―国の動きを待つのではなく、できるところから会社として動こう、ということですね。
(山口) まさにその通りです。
NPO含め、企業の就業規則、社内規程というのは、守るべき法律はあるのですが、その上であれば、会社によってそれなりに特色を持たせて規定することができるものなんです。
今回のような、法制度のすき間にある問題に対して、まず会社としてできることをする、ということができます。
フローレンスの場合はさらに、就業規則の文章自体に、団体のビジョンが明記されていたりもします。組織ごとの個性が出るところですね。
(▼働き方革命事業部 山口マネージャ(人事・法務・総務担当))
■いろいろな家族・親子のあり方を応援するための就業規則改定
―なるほど。今回フローレンスとして養親・養子を支援するという規則改定を行ったのは、どういう背景からなのですか?
(山口) フローレンスは、いろいろな家族のあり方を応援するというポリシーを持っています。先日行った、同性婚・事実婚を想定した就業規則改定もそのひとつですね。
親子のあり方も、生みの親と子という関係がすべてではないですよね。今回の特別養子縁組や、あるいはもっと広い意味での里親など、さまざまなかたちがあってよいものです。
(宮崎) その通りですね。
フローレンスでは先日、子どもを産んでも育てることが難しい母親と、子どもが欲しくてもなかなか授からなかったカップルの間をつなぐ赤ちゃん縁組に協力しました。
生みの親から養親に赤ちゃんが引き渡されるまでのあいだ、保育スタッフが24時間体制で赤ちゃんを保育するという取り組みです。
赤ちゃん縁組は、初婚年齢の高齢化や不妊治療のニーズの高まりがある中、養親となるカップルから見ても、希望を持てる取り組みですし、またなにより、生まれたばかりの赤ちゃんの命を救い、家庭環境で育ててあげることができるのは本当に素晴らしいことです。
この赤ちゃん縁組も、さまざまな親子のあり方のひとつですよね。
(山口) 個人的には、子どもは親のもとに、いつどのようにやってくるかわからないものだと思っています。フローレンスのスタッフが、将来、特別養子縁組で子どもを授かることもあるかもしれませんし、そういったことがあれば、そのスタッフを会社として応援したいというのが、フローレンス人事チームの想いです。
(宮崎) この改訂中に、あるスタッフが、急逝した親友のお子さんを一時的に引き取り育てる生活を始めました。お子さんが赤ちゃんではなかったため、彼女は休むことなく勤務時間の調整をしながら働いてくれています。ですが、もし赤ちゃんだったら、そして、そのとき育休が取れなかったらどんなに大変か・・・組織として受け皿を整えておくことの重要性を確信する出来事でした。
親子の笑顔を妨げる社会問題を解決するというのがフローレンスのミッションです。
赤ちゃん縁組の支援、今回の特別養子縁組試験養育期間での育休取得など、施策の規模はさまざまですが、いろんな家族・親子の笑顔があふれる社会を目指して、これからもさまざまな取り組みを行っていくつもりです。
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インタビューをしてみて、病児保育や小規模保育、障害児保育といった事業だけでなく、就業規則の改定という、一見地味なことも、しっかりビジョンやミッションに基づいたものになっていることを知り、いちスタッフとしてとても納得感がありました。
よろしければ、お勤めの会社の就業規則をぜひもう一度よく読んでみてください。会社からの壮大なメッセージが込められているかもしれません。
また、国が法律を変えるには、それなりの時間がかかりますが、企業が就業規則を変えることは、想いとポリシーがあれば難しいことではありません。
今回の養親・里親の育児休暇のように、社員の生活・育児を助ける制度は、少子化が問題視されている現在の社会ではとても意味があるものだと思います。
あなたの会社でも、国より一歩先に、社員を幸せにするための制度を作ってみてはいかがでしょうか。
フローレンスでは他にも様々な社内制度を設けています。
興味があれば、以下の記事もぜひご覧ください!
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