駒崎 弘樹 公式ブログ
提言・解説・アイディア
古市、ごめん、俺はお前を誤解していたよ!そしてこの本は素晴らしい!
古市憲寿っていう、川越シェフ似の社会学者がいるんですよ。大学の後輩なんですけどね。
著作が「リアル若者から見ると、オッサン達の唱える若者論って違ってますよ」みたいな切り口で、そういうのが世の中に受けて、よくテレビで若者代表として出ているわけですよ。
でも、一緒に飯食ったり、泊まりがけのカンファレンスで部屋同じになったりして、「お前、色々と評論みたいことしてるけど、本当はどういうことがしたいの?日本をどんな国にしたいんだよ」とみたいに突っ込んでも、
「いやー、特にないっすね」
みたいな感じで、部活のうざい先輩をあしらう新入生みたいな対応だったわけですよ。
おっさんからすると、昨今の若手はよう分からんな、と。まあこういう感じだったんですね。
だがしかし。僕は古市の新作を読んで、驚愕したのです。
「なんてまともなんだ」と。
「保育園義務教育化」というタイトル。一見、気をてらっているけれど、就学前教育の重要性というのはエビデンスもあり、かつ格差縮小や人的投資の側面からも、全く不自然ではない政策提案。
そこから踏み込んで、
就学前教育が最も投資対効果が高いこと。
母親が人間扱いされていない日本社会批判。
母性本能なんてない。
3歳児神話というデマ。
ピケティに会ったけど、日本の少子化心配してたぜ。
子育てしやすい環境をつくることは、経済にとってもプラスだ
子育てしづらい日本は、変えることができる
等々、一般の人々にとって、むちゃくちゃ分かりやすく、かつ大事なポイントは全部押さえて、少子化問題や待機児童問題、女性活躍について語っています。
少子高齢化って、「大変なことは分かっているけど、どうすれば良いのか」がよく分からない領域です。それを、「普通の人々」に分かりやすく提示し、そして希望を語る。
あぁ、なるほど。古市は、こういうことができる人だったんだ。今まで誤解していたよ。これがお前の闘い方なんだ。そしてそれは、今の日本に必要な闘い方だ。
僕はよく「日本の子育て支援とか少子高齢化を理解するのに、良い本ってないですか?」とよく聞かれてました。その度に「うーん、一つの本で、っていうのは無いかな・・・。(いつか自分が書かなきゃな・・・)」なんて答えていました。
しかし、これからは自信を持って答えましょう。この「保育園義務教育化」こそ、少子高齢化や子育て支援問題に、あなたをいざなう一冊だ、と。
子どもを育てている人も、育てていない人も。減り行く日本の人口を憂う人も、もうどうしようもないと諦めている人も、全ての人々に読んでほしいです。
我々若者世代が、どうやって子どもと子育てに向き合うか。そして他ならぬ我々若者自身が、どうやって子どもと子育てに優しい日本を創っていくか。そのしなやかな覚悟は、必ずや知るに値するものでしょう。
「保育園義務教育化」
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