駒崎 弘樹 公式ブログ 提言・アイデア

子ども子育て会議、前半戦が終わった雑感

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保育・子育て支援関係者以外興味の無い内容かと思いますが、備忘録として。
今日、実は日本の保育政策の60数年ぶりの大改革となる子ども子育て新制度の公定価格(補助額)仮単価という大きな山が取りまとまりました。ここまでの自分の動きの総括代わりに、雑感を。
満足度として50%、政策提言実現度も5割と言ったところ。
まず実現できた成果から。
【成果】
・僕たちが2010年「おうち保育園」で実現した小規模保育が、「小規模認可保育所」として子ども子育て新制度で制度化された。
・小規模保育A〜C型の類型を作り、現存の認可外を含めて包摂し、底上げできる制度にできた
・小規模保育にも園長を置けるようにすることができた
・小規模保育の人員配置が、ほぼ「保育者1人に子ども3人」という認可保育園以上に手厚い人員配置設計にすることができた
・既存の保育所では受け入れづらい障害児を、国費が出る制度にしたことで小規模保育で受け入れやすくすることができた
・居宅訪問型をこれまで集団保育でなかなか受け入れが進まなかった「障害児や慢性疾患児」や、ベビーシッター殺人事件でも問題になった「ひとり親世帯の夜間」に対して対応できる仕組みにできた。これによって、今だと莫大な金額がかかる、障害児や慢性疾患児の家庭でのマンツーマン保育が安価な保育料で可能に。また、ダブルワークをしていたり、夜間働くひとり親家庭の子どもの保育の場が極端に不足している、という現状を打破できるように
・一時保育に訪問型という類型を作ってもらうことができた
・これまで調査も公表もされてなかった保育の重大事故の公表義務がついた。これで子どもの死を無駄にせずに、教訓を引き出す第一歩になった
・毎回Twitter実況中継をして、ある程度多くの人々に政策立案過程を理解してもらえた
これらの中には、60年近く変わらなかった保育制度を大きく変える歴史的な一歩もあり、多くの人々の支えのお陰だと思います。
ちなみに僕が頑張って提案したわけではないですが、厚労省の良い動きによって今回実現された制度として
・小規模保育(0〜2歳)の卒園後の受け皿として、連携した幼稚園や保育所、認定こども園に行ける、という制度。これによって3歳以降の保育難民化を防げるように
というものもあります。これは皆さん、本当に助かりますね。
さて、次に、現時点では結果が分からないもの。
【まだ攻めている途中でどうなるか分からないもの】
・小規模保育に、看護師を置き、病児保育を可能にさせること
・病児保育の訪問型もきちんと制度に位置づけ、自治体が使いやすいものにすること
・病児保育バウチャーを自治体ができるような仕組み
・小規模保育にも、既存保育所等で可能になっている、公的な保険をつけられるようにすること
・本当は1兆1000億ないと待機児童解消できないのに、7000億しか財源が無いこと
・特別養子縁組を社会的養護政策に明示的に位置づけること
・ベビーシッターマッチングサイトへの身分確認等の規制
この辺り、引き続き頑張っていきたいと思います。
最後に、失敗したもの。完全に僕の力不足でした。無念・・・。
【提言失敗】
・保育士試験の複数回化によって、保育士不足解消に貢献する
・小規模保育A型は国補助によって採算ラインは超えられるが、東京等都市部ではB型・C型では基礎自治体の上乗せ補助がなくては(複数園展開ベースの)採算ラインを超えなそうなこと
特に2番目が痛いところです。
都市部においては、既存保育所には基礎自治体が国費に上乗せして独自補助をしていることで、事業の採算性と参入意欲が向上している図式が成立しているのですが、新制度においてその上乗せがどこまで実施されるかは不透明です。
そうした場合、事業採算性の関係から小規模保育B・C型は増えず、待機児童解消もその分遅れてしまう、ということになります。
小規模保育A型は保育士比率100%なので、保育士不足の環境を考えると、どこまで伸ばせるか、かなり見えない部分があります。
今後は、基礎自治体の財政力とやる気によって、上乗せ補助の額も相当差がでるはずなので、待機児童問題の進捗は、より格差が出てくるのではないかな、と考えられます。
以上、自分としては反省点の多々ある政策提言通信簿ですが、引き続き失敗を糧に頑張って参りたいと思います。
後半戦は、より制度の詳細設計の部分に踏み込んでいく形になっていきます。
なお、こうした政策提言も、僕一人では絶対にできなかったことは、重ねて申し上げたいと思います。
全国小規模保育協議会の仲間の皆さんがいなかったら、そもそもこの会議に出れていませんでした。
また、諸悪の根源みたいな言われようをしている官僚の皆さんですが、内閣府・厚労省等、事務局の官僚の皆さんは本当に真摯に話を聞いて下さいました。心から感謝しています。
更に、理解と共感を発言によって示して下さった同僚委員の皆さんや、子ども・子育て会議で出た課題を国会質問して下さった国会議員の方々にも、深く感謝です。
最後に、僕が組織の外でこういう政策提言・ロビイングを好きにやれるのも、組織の中を守り、つつがなく事業を回してくれている事務局長以下、社員全員のお陰だと思います。
これからも精一杯、頑張ります。
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