駒崎 弘樹 公式ブログ 提言・解説・アイディア

育休3年よりも「特別養子縁組でも育休」を!

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実の子じゃないと育児休業給付金をもらえないという育児介護休業法のバグを、朝日新聞の後藤記者が指摘しています。
社会的養護を必要とする子どもの9割が、児童養護施設等の、施設に行かざるを得ない状況で、特別養子縁組は「子ども達に愛ある家庭を提供する方法」として、推進していくべき制度です。
 
しかし、共働きがマジョリティの今、育休制度の不備は、特別養子縁組の普及促進への大きな壁になってしまいます。
というわけで、正社員女性の育休の長さについて議論するのはもう良いから、マイノリティの人達にも育休を!というわけで、ご紹介します。
 
(記者有論)特別養子縁組 共働きで迎えるためには 後藤絵里
 
 生みの親が育てられない小さな子どもを引き取り、法的にも親子関係になる「特別養子縁組」という制度がある。一昨年度は400件近い縁組が成立した。だが、共働き家庭がこの仕組みで子どもを迎えた場合、育児休業の給付金が受けられないなど、実の親子より不利になる例がでている。特別養子と育児休業という二つの制度の間に、思わぬ「すきま」があるからだ。
 
 特別養子縁組は、家庭裁判所の審判で成立するが、それには6カ月以上の「試験養育期間」が必要とされている。その間は家裁や児童相談所の訪問を受けながら、実の親子同様に育てるが、戸籍上は「同居人」扱いになる。このことが、育児休業をとるときの障害になっている。
 
 昨年夏、東北地方の看護師の女性(44)は生後間もない男児との特別養子縁組を申し立てた。「子どもと一緒にいる時間がほしい」と育児休業を申請し、雇用保険から払われる育児休業給付金(平均月収の50%)を受けようとしたが、県のハローワークは「法律上の親子でない」として認めなかった。女性は不服として県に審査請求したが棄却され、国の労働保険審査会に再審査を請求中だ。
 
 都内の中小企業で課長職の女性(44)は2年前、生後間もない女児との特別養子縁組を申請。会社は退職を慰留する一方、育児休業の適用は認めなかった。女性は、半年無給で休職した。「戸籍の違いで、これほど支援に差があるとは」と不満をもらす。
 
 特別養子縁組は実の親との関係を断ちきる制度で、試験養育期間は必要だ。だが実際の子育ては子どもを迎えた時に始まる。早稲田大法学部の棚村政行教授は「特別養子と給付金制度の趣旨を考えれば試験養育中もカバーされるべきだ。縁組が成立した後、さかのぼって支給する特例を設けてもよい」と指摘する。
 
 実はこれまで共働き世帯はそもそも特別養子の受け皿と見られてこなかった。民間あっせん団体の多くは一方の親が育児に専念するよう求め、縁組に向けた里親制度がある児童相談所も同様の判断をすることが多いという。だが最近は流れが変わり、「育児は両親でするもの」と共働きを肯定する団体も出てきた。
 
 政府は一昨年、実の親が育てられない子どもについて、長年の施設偏重を改め、家庭的な環境で育てることを優先する方針を決めた。その実現のためにも、制度のすきまを埋めることが必要だ。
 
 (ごとうえり GLOBE編集部)
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