駒崎 弘樹 公式ブログ
ライフ・子育て
「ママだけが勤める美容院」を経営する(株)レボル平井さんとお会いしました
基本的には子どもを産んだら辞めて、手が離れたらパートタイムで復帰、という形にならざるを得ないケースが多いようです。
そんな美容院業界において、子育て中のママだけが勤めるという常識を超えた店舗があります。
その名も「マリーチェ」(http://p.tl/6ZZp)
子どもを預けづらい日曜・祝日はお休み。
営業は17時まで(!)で、お迎えにも間に合う。
子育て中の女性美容師さんにとっては、むちゃくちゃ働きやすいですが、一方本当にこれで経営的に回るのか?と疑問を持ちました。
役員の平井さん曰く「むしろ非常に好調です」とのこと。
その秘密は、ストラテジック・ポジショニングにありました。
通常の美容院は、若手から高齢者まで、顧客は全方位戦略。ゆえに、営業時間も全ての顧客に合わせて長時間・土日・祝関係なく空けてなくてはいけませんでした。
しかしマリーチェの場合は、中年・高齢者にターゲットを定めていることで、営業時間を絞ることができたのです。また、中年・高齢者の方々は白髪染め等が必要になるため、高単価でリピート率が高いことから、生産性も高まります。
こうして、人事面の工夫に留まらない、戦略から抜本的に変えるアプローチによって、ワークライフバランスな職場を実現したわけです。
一方で、この話は「良い職場だね」では終わらないインパクトがあります。というのも、美容師業界はその働きづらさのため、若年人口の現象よりも高い率で、就職希望率が下がっているそうです。
そのため、非常に採用しづらいという状況にあります。
よって、技術の蓄積のある既存の従業員を「辞めさせない」というアプローチを行っていかないと、どんどん質が下がって行ってしまうジレンマを抱えています。こうした業界の未来に対し、小さな美容室であるマリーチェはイノベーションを起こしていると言えないでしょうか。
こんな隠れたイノベーションを起こしたレボルの平井さんですが、実は仕事でのおつき合いで知り合ったのではなく、保育園の送り迎え繋がり。保育園の送り迎えで顔を合わせていたけれど、ゆっくり話したこともなかったですね、いつかお茶でも、みたいなところから話してみたら、お互いワークライフバランスな仕事をしていた、という出会いでした。
働きやすい職場をつくることが、人口減少社会を救うイノベーションになること。そしてパパ友いいぜ、というまとめをして、本稿を終わりにしたいと思います。ビバ、イノベーション。