駒崎 弘樹 公式ブログ 旧ブログ記事

<font size="3">休眠預金を復興支援へ!</font>

震災から1か月が経とうとしています。


原発は収束せず、余震は続き、被災地ではいまだに不安な日々が続きます。しかしガソリンの流通復活や東北新幹線の復旧等、徐々に社会インフラ復旧の兆候も見えます。
復興。被災地の方々の苦しみに寄り添いながら、私達はこの大事業について考えなくてはなりません。
阪神淡路大震災の際は、復旧費用が300億円(復旧支援に充てられた特別交付税総額)、復興計画事業費は16兆3000億円(阪神淡路震災復興計画及び補完プログラムに位置づけられた事業総額)でした。今回の東日本大震災では、それを大幅に上回る復興費用が必要とされています。
一方で国の財政は1000兆弱の債務を抱え、更に毎年50兆近く増やし続けているという火の車状態です。民間の英知を結集して、この国難にあたらねばなりません。
そこで、私は復興のために「銀行埋蔵金」とも呼ばれる、休眠預金を復興に活用する案を提起したいと思います。
休眠預金(休眠口座)とは何でしょうか。小さな頃にお年玉を入れていたり、へそくり用に作ったりしてずっと使ってない口座は、誰しもあろうかと思います。実はこの口座に入っている預金は、10年経つと銀行の利益になります。
そんな馬鹿な、と思われるかも知れませんが、事実です。その額3メガバンクだけで「毎年」約300億円。金融機関全体だと1000億円が毎年毎年、金融機関の利益として処理されるわけです。
例えば今回、被災して亡くなった方々の口座も、当然休眠口座になり、10年経つと銀行の利益になります。
こうした庶民感情からは納得できないような状況に対し、諸外国では2つの方法を取っています。
ひとつは、国民が休眠口座を探しやすいような統一的な窓口を創る。ここに聞けば、どこに休眠口座があるか分かる、というようなものですね。イギリスや勧告等では、WEBから休眠口座を探せるようになっています。
一方、預金者が亡くなられたりしていて、探すこともできない場合もあります。こうした場合は、社会福祉等に活用することで、国民に還元する、という手法が取られています。
例えば韓国では「休眠口座基金」が設立されて、奨学金や福祉等のために、小額低利子貸付(マイクロファイナンス)に利用されています。
諸外国にできて、日本にできないわけがありません。国民の預金を、毎年1000億円ずつ銀行の利益にするのではなく、被災地で苦しむ方々、そして東北の復興のために活用していくべきです。
例えば、毎年1000億円ずつ銀行の利益になる休眠預金の3割でも使えたとしたら、どうでしょうか。
県外避難者の方々が再就職するのにかかる費用は1人あたり約250万円と言われていますが、1万2000人(県外避難者の3人に1人)に再スタート準備金を貸し付けることができます。
震災遺児の子どもたちが大学に進学するためには、生活費も入れて4年間で600万円は最低限必須です。300億円あれば、2500人の遺児達に大学に行ってもらうことができます
また県外避難者の方々が地元で生活を再スタートさせる際にもお金が必要ですが、1人当たり150万円として推定帰郷希望者15000人全員に再スタート支援金を貸し付けることができます
国や地方自治体では公平性の原則から中々進まないだろう領域に、迅速かつきめ細かく支援することが可能になるでしょう。
政治家の方々。復興のために「休眠口座基金」を、我が国でも創りませんか
銀行には嫌われるかも知れませんが、地震と津波と原発に何もかも奪われた方々の生活を救うことはできるでしょう。
力を貸して下さい。
※関連資料
●休眠口座基金による東北復興案
http://bit.ly/ehwGIl
●休眠預金法私案(大毅法律事務所等のプロボノ協力により作成)
http://bit.ly/h7RUur
●各国の休眠口座基金について
http://bit.ly/gTCZZf
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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