児童相談所がダメでも、子どもの命を救う方法 〜市町村による一時保護ルート創設案〜
野田市の心愛ちゃん虐待死事件では、糸満市児相、柏児相の不手際が次々に報道されています。
児相、心愛さん虐待リスク上昇知っていた 会議録も存在
https://www.asahi.com/articles/ASM272VC5M27UDCB001.html
千葉・野田の女児死亡
児相、自宅訪問せず 昨年3月以降
https://mainichi.jp/articles/20190129/ddm/041/040/043000c
およそ信じられない不作為ですが、ここで児相に電話で怒鳴り込んでも、何ら事態は改善しません。
今回は、具体的に「児相がダメでも子どもの命を救う」方法について提言したいと思います。(虐待防止に携わる現場の方と議論し考えました)
「児相がダメなら、全部アウト」な現状のしくみ
そもそも、今問題になっていることの根源の一つは、子どもを救い出す役割を全て児相が背負っていることです。
ケースをボールだとすると、数多くのボールが、学校や警察、地域、市区町村から、児相という箱に投げ込まれます。
児相の箱は、投げ込まれたボールの中から、危険なボールをピックアップして、一時保護をし、子どもを救出することになっています。
しかし、この箱の大きさ(児相のキャパ)が大きくなく、すぐに溢れてしまいます。溢れてしまうと、危険なボールのピックアップ作業をできず、とにかく箱にボールを押し込もうとすることになります。
これではイカン、箱の大きさを大きくしようと、児童福祉司(ケースワーカー)の数を増やすことを政府は決めました。
しかし、ケースワーカーを採用し、育つまでには時間がかかります。この箱はすぐには大きくできません。
その間にも、ボールは地域や警察、学校等から、たくさん箱の中に入れられ続ける、というのが現状です。
そのうち、危険なボールをピックアップできず、ボールが破裂します。これが子どもの死です。
そうなるとボールを投げ込んでいた地域や学校や市区町村は、「何してんだ!!」と怒らざるを得なくなります。
さて、この仕組の問題は何でしょうか?
児相に全てのボールが集中し「児相がダメになったらアウト」という課題。つまり、1つの部位がボトルネックになったら、全体がダウンする、大変脆弱なシステムだ、ということです。
セカンドトラックを設けよう
そこで、今までボールを投げ入れていたプレイヤーたちも、一時保護をできるようなセカンドトラックを設けるのです。
例えば、市区町村には子ども家庭支援センター(コカセン)という、児相の前段階で虐待対応をする機関があります。
今はコカセンは自分たちでやれる範囲の対応は自分たちでやっているのですが、ヘビーになると児相に送致(「児相さん、よろしくね」とケースを送ること)することができます。
ただ、一時保護の判断は児相所長しかできないため、児相が保護しないと決めたら、あるいは保護して良いかの判断が忙しさでできなかったら、そこでおしまいです。コカセンがいくら保護したほうが良い!と思っても、打つ手なし、ということになります。
これを変えて、コカセンの段階で「一時保護が必要だ!一刻も早く助けなきゃ!」と思ったら、コカセンが家庭裁判所に一時保護の申立をし、家裁がそれを受理し、児相に保護命令を出す、というルートを新たに創設するのです。
そうすれば、児相がキャパオーバーで正常な判断ができなかったとしても、市区町村のコカセンでカバーができるようになるわけです。
法改正等が必要
システム的に考えたら、そんな当たり前のこと、なんでやらないの?と思われますよね?
これは、児童福祉法第33条で、一時保護は児童相談所長の権限だ、と決めているからです。それ以外のルートは法的には存在していないのです。
児童福祉法第33条を国会で法改正するか、どこかの意識の高い首長が、国家戦略特区やサンドボックスにおいて規制緩和を仕掛けるか。いずれにせよ、そうした政治的アクションが必要になります。
一時保護所の拡充も必要
また、一時保護所も都市部だとかなり埋まってしまっているので、市区町村で独自に新設していく必要もあるでしょう。
一時保護「所」だけでなく、低年齢児は一時保護里親を増やしていくことも、同時にやっていく必要があるでしょう。
まとめ
具体的でややマニアックですが、今の児相依存の虐待防止の仕組みを、分散化させることでより効果的にしていく、という提案でした。
虐待予防専門家の方々や、行政関係者の方からのフィードバックも歓迎いたします。
ベストな案ではないかもしれませんが、少なくとも児相にクレームいれまくって子どもを守る時間を奪うよりは、具体的なアイデア出した方が、子どもたちのためになるかな、と。
皆さん、どう思われますか?