東京マラソン2019チャリティ特別対談 ママアスリート・寺田明日香×文化系男子・駒崎弘樹
先日からしつこくご報告の通り、フローレンスは「東京マラソン2019チャリティ事業」の寄付先団体に、このたび初めて選出されました!
東京23区の障害児保育を希望するすべての家庭に保育の受け皿を提供するため、障害児保育園ヘレンの新設、および障害児訪問保育アニーのサービス拡充のため本チャリティ事業に参加します。
東京マラソン2019チャリティのフローレンス広報大使としてチャリティを盛り上げる【チャリティアンバサダー】がこのたび決定いたしました。
寺田明日香さん
<プロフィール>
1990年1月14日生。北海道札幌市出身。小学校4年生から陸上競技を始める。アジア選手権では銀メダルを獲得。引退後、2014年から早稲田大学人間科学部で幼児体育を専攻。2016年夏に「7人制ラグビー」に競技転向する形で現役復帰し、幼児を子に持つママアスリートとして、2020年東京オリンピックを目指す。
フローレンス代表 駒崎弘樹
<プロフィール>
1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、NPO法人フローレンスを設立し日本初の共済型・訪問型の病児保育事業をスタート。その後も待機児童問題や障害児保育問題の解決のため次々と新規事業を立ち上げる社会起業家として知られる一方、自称コミュ障で超文化系、運動は大の苦手だという歴史オタク。
チャリティアンバサダーとして、東京マラソン2019チャリティに挑戦する2人による初対談をお届けします。
100mを11秒台で走るトップアスリートの寺田さんと、日頃から非モテ・非体育会系を公言する僕・駒崎。対談は僕の弱音からスタートしました・・・
スーパーアスリートと文化系男子がフルマラソン初挑戦を語る
駒崎:最初に自己開示しときますと、僕はほんっとーに走るの苦手で……トラウマレベルに苦手なんですよ
寺田:(笑)ブログ見ました。
駒崎:小学生の頃足が遅くて苦しんでいた僕と比べて、寺田さんは俊足で学校の人気者だったんだろうなと、羨ましい限りです。
寺田:でも、私も長距離は苦手なんですよ。実は、チャリティランナーのお話をいただいた時にさすがにフルマラソンはどうしようってドキドキしたんですが、駒崎さんが一緒に走ってくださるなら・・走ろうかなと思ったんです!
駒崎:よかったーーー!!
正直、僕、最後まで「自分が走ってもなんの意味もないっしょ?走り損でしょ」って抵抗してたんですよ。でも、寺田さんが走ることを決めて下さっただけでも、僕が走るって言った意味がありますね。報われました。
それにしても、今から来年の3月が恐怖で恐怖で……。
寺田:噂によると、10km頑張って走れればあとは少しなら歩いても大丈夫だそうですよ。
駒崎:それみんな言うんですけど、都市伝説じゃない?
寺田:マラソン大会にはだいたい制限時間があるんですけど、東京マラソンはフィニッシュまでの制限時間が長く、完走率96%ですから!10kmの関門を突破できれば、あとは少し歩いたとしても制限時間内でのフィニッシュが見えてきますよ。
駒崎:うんうん、ちょっとずついける気がしてきました。
僕は北区の赤羽っていう全く走り甲斐のない町に住んでましてね。モチベーションをあげるにはどうしたらいいですか?
寺田:2km、3kmと走れる距離を少しずつのばして無理をしないこと。あと、便利なアプリなどを使って記録をつけていくと良いです。1日のカロリー消費とか、移動した距離を見られると、けっこうモチベーションになりますよ。
あとは、お気に入りのウエアを着て気分を盛り上げるのもいいですね。フローレンスのロゴをどーんと載せたTシャツを着て走るとかどうですか?
駒崎:おお、宣伝になる。そういう実利があったらやる気になるかも・・・
寺田:そんなアドバイスをしてみましたが、実は私も10km以上走るのは初めてなんです。短距離専門でやってきたので。
駒崎:えええーー!!そうなんですか! 寺田さんも初めて挑戦するんだ、勇気づけられます。
ハードルで世界と戦ったアスリートが、ラグビーに転向した理由
駒崎:寺田さんといえば、ハードラーとして世界ジュニアランキング1位に輝いたこともある陸上競技のトップアスリートでいらっしゃいましたが、現在はラグビーの選手なんですよね。
ぜんぜん違う種目じゃないですか。陸上は個人戦でひたすらタイムとの戦い、一方は団体戦でボールも使うし人ともぶつかる。同じスポーツでも全く異種目に切り替えるのは、勇気がいったのではないですか。
寺田:小さな頃から、ソフトテニス、水泳、バスケットボール…といろんな種目を習っていたのと、北海道出身なのでどこでも野球やサッカーをして良かったから、友達とたくさんボールを使って遊ぶ環境が多かったんですね。だから、あまり競技間の垣根を感じていなかったというのもあります。
それに、駒崎さんがIT業界から保育業で起業されたみたいに、社会人の方が異業種に転職するのはよくあることですよね。私は、スポーツ選手にもそれがあってもいいんじゃないかなと思っています。スポーツ選手も、自分の特性を活かす場所はひとつではないと思えば可能性が広がりますよね。駒崎:確かにそうですね。ところで、7人制ラグビーっていうのはどんな競技ですか。特に、男子はわりとメジャーだけど、女子は新しいなと思って。
寺田:7人制ラグビーは2016年リオデジャネイロオリンピックから正式競技になったんです。
通常ラグビーは15人制ですが、私がやっているオリンパス種目のラグビーは7人制で、試合の時間も15人制は前半40分・後半40分ですが、7人制は前半7分・後半7分と短いんです。それでいて、フィールドの大きさは通常ラグビーと同じなんです。
駒崎:ええ!?そうなんですか。
寺田:だから、私のような足の速い選手にとってはスペースが広いので動きやすい、抜きやすい、という種目で得意を活かすことができます。ただ、ラグビーなのでタックルもあるし、ボールを奪い合う駆け引きや、フィジカルの強さも必要なので、その部分では苦戦していますね。 7人制ラグビーのフィールドの様子
駒崎:女子サッカーもかつてはマイナーだったけど、今はなでしこが有名になりました。日本で男子ラグビーが盛り上がる中、女子ラグビーもポテンシャルがある気がしますね。
寺田:そうなんです。女子のサッカーが強くなってメジャーになったように、地元東京で開催されるオリンピックを機会に世界に食い込んで行きたい狙いがあります。
駒崎:オリンピック出場を目指していらっしゃるんですね!
寺田:はい、目指してます!そういえば、ちなみに東京オリンピックのマラソンコースは東京マラソンのコースと同じところが多いんですよ。
駒崎:おおー!それはかなりモチベーションがあがりました。走る気わいてきた!!東京オリンピックも今まであまり実感がなかったけど、寺田さんを観戦しにいけると思うと楽しみになってきました。
体育会系・根性論の日本、もっとスポーツを楽しんでいい
寺田:オリンピック・パラリンピックを一過性のお祭りにせずに、みんながスポーツに親しんで健康に過ごすきっかけになるといいですよね。
駒崎:日本でスポーツというと原体験が「体育の授業」「部活」ですよね。これが運動嫌いにさせる装置だと思うんですよ。体育で競争させられたり部活でしごかれたりはイヤだけど、体を動かすのは好きっていう人は多いはず。
僕、高校のときアメリカに留学していたんですけど、アメリカは体育の授業がめっちゃ楽しかった。部活もすごく楽しかったんです。みんなスポーツする時に笑顔なんですよ。スポーツを笑ってやるって、僕にはすごく新鮮だった。
日本で体育や部活を笑ってやろうものなら「こら!気合入れろ」「真剣にやれ!」と怒られるのに。
部活はレスリング部に入って、初めてレスリングをやったんですけど、楽しいから一生懸命練習してたらすごい強くなっちゃって。運動嫌いだった自分がレスリングで三冠王になって、チームメイトやホストファミリーがすごく喜んでくれて……。こんなにスポーツって楽しかったんだと嬉しかった。駒崎が高校生時代留学していたころの様子
寺田:日本では部活などでもその競技一本にしぼって全てを投げ売って取り組む、というのが美しいとされてきましたが、スポーツの上達に一番必要なのは「好き」「楽しい」という気持ちです。私も子育てをしていて、娘が「スイミングが大好きだから頑張る」と言う様子を見て、これがスポーツの原点だなって感じます。
ママ×アスリートはロールモデルがなく、保育園にも入れない現状
駒崎:娘さんのお話が出ましたが、寺田さんのすごいところはなんと言っても子育て中のママアスリートでいらっしゃるということ。昔、柔道の選手が「ママでも金」と言ったことがありましたが、アスリートと子育ての両立は難しいという前提があって出た言葉だと思うんですよね。
実際どうですか?
寺田さんとお子さん
寺田:本当に難しいです。
日本では、妊娠して出産して、競技に戻るっていう選択肢が現在ほとんどありません。ロールモデルがほとんどないんです。
海外ではわりと普通にママアスリートはいて、モデルケースがあるし、時期に合わせたメニューも組まれているんですが、日本国内にはほとんどない。それから、ママアスリートが集まると一番話題になるのが、保育園問題。
アスリートは個人事業主だったりスポンサー企業の契約社員である場合が多いので、認可保育園がまず通らない。
駒崎:そうか、プロアスリートは個人事業主になるからフルタイム会社員より点数が低くなる・・・!オリンピックを目指すような人たちが、保育園に入れず競技を諦めるってことですか。
寺田:私の場合は、ラグビーを始めた頃は娘が1歳クラスで保育園に全く空きがありませんでした。認可外を使おうとすると、すごく高額だったので、夫の母にお願いするしかなかったんですが、義母もわりと高齢なので無理をお願いしてしまいました。
駒崎:オリンピックとか言ってるのに……日本。オリンピック選手が待機児童問題に直面してるって、世界に絶句されますね。寺田:海外ではトレーニングセンターに託児所があったり、ゴルフツアーに託児ルームが設けられたり、アスリートの親御さんに対する補助金があったりしますね。もちろん日本にも似たような環境が整備されつつありますが、まだまだ海外には及んでいないというのが実感です。
駒崎:なるほど。これは多分……スポーツはスポーツ庁、保育は厚労省って、縦割りで情報共有できていないってことが起きてそうですね。両立の難しさといえば、寺田さんは「37.5℃の涙」も見てくださったとか。
母子家庭を支えた母の苦労と、周囲の助けのありがたさが蘇った
寺田:ちょうど、娘が産まれたばかりの頃でした。
もうぼろぼろぼろぼろ泣きながら、漫画も読んでドラマも見てました。
実は、小学校2年生の時に両親が離婚して私は母子家庭で育ちました。母は働きに出て私たち姉妹は母方の祖母や近所のおばあちゃんによく面倒を見てもらって育ちました。私達が病気になった時も、周りに助けられて母はすごく助かってたって言っていました。
私自身、親元を離れて東京で子育てをしていますが、夫も仕事を休めず義母にも頼めない場合を想像すると怖いです。私の母もひとりで不安だっただろうなってすごくわかって、ドラマや漫画を見た時に母や私自身と重なって号泣でした。
寺田さんのお子さんから、お母さんへのメッセージ
駒崎:そうですよね。子どもが病気の時はたくさんの人の手を借りないと乗り切れない。僕も7歳と5歳の子ども達が喘息持ちなのでよくわかります。
さて、僕たちと同じように子育てに奮闘されているママアスリート寺田さんですが、今回フローレンスのチャリティアンバサダーになってくださったきっかけを教えて下さい。
スポーツには人と人とをつなげる力がある。チャリティアンバサダーに込めた思い
寺田:37.5℃の涙を読んでフローレンスさんを知ったことと、周りにもフローレンスさんの病児保育にお世話になっているママがたくさんいて、フローレンスさんに以前から共感してきました。
私自身も、早稲田大学で子どもの体育とか福祉系を勉強したことがあって。障害児とも関わる中で、彼らが輝ける場所があればいいなという思いがありました。
今回の「障害を理由に保育を受けられない子どもをゼロにする」というフローレンスさんの挑戦を、心から応援したいと感じました。
今回アンバサダーを拝命し、すごく嬉しいです。親御さんが困っていること、子どもたちのためにできること、まだまだ足りないことなど、たくさん私たちも知りたいし、情報をお届けできればと思っています。東京マラソン2019チャリティをきっかけに、障害児保育について広めるお手伝いをできればと思っています。
駒崎:素晴らしすぎる……!ほんと、マラソンイヤイヤ言ってた自分が恥ずかしい・・・。
寺田:スポーツは人と人とを前向きに繋げてくれる力を持っているって、信じています。
フローレンスさんやチャリティランナーさんと一緒に、こどもたちが自分たちの好きな未来をつくっていけるような日本にしていきたいし、親御さんも困ったときにひとりで抱え込まないで、支える周りの人たちも幸せになれるような社会をつくっていきたいです。
駒崎:がんばりましょうね!
では、最後にチャリティランナーさんへのメッセージでしめましょうか。まずは僕から。
皆さん、たのむからフローレンスを寄付先団体に選んでください!!(切実)
僕と一緒に10kmまで走りましょう、その後はぜひ楽しくウォーキングしましょう!
寺田:(笑)
チャリティランナーの皆さんとぜひたくさん交流したいなと思っています。イベントや大会当日、たくさんお話させてください!(了)
フローレンスは、「障害(医療的ケア)があることを理由に保育が受けられない子どもを、まずは東京でゼロにしたい」という目標を掲げ、障害児保育事業を展開しています。この目標を応援してくれるチャリティランナー・チャリティ参加者を募集します
エントリーは東京マラソン財団公式サイトで、いよいよ7月2日より開始!!
東京マラソン2019チャリティ概要(http://www.marathon.tokyo/charity/)
東京マラソン2019は、2019年3月3日(日)に開催予定。10万円以上の寄付金をいただいた個人の中で、ご希望の方はチャリティランナーとして参加することができます。チャリティランナー募集人数:4,000人(予定)/先着順ですのでご注意ください。
※寄付・出走の受付は7月2日(月)東京マラソンチャリティ公式ウェブサイト(http://www.marathon.tokyo/charity/)より個人でお手続きください。
フローレンスを寄付先に選んでいただくと、こんなチャリティランナープログラムが!
大会当日の保育サービスや、保育付きランイベント、有名アスリートさんとの交流イベント、アスリートによるキッズかけっこクリニック付ランイベントなど企画しています。皇居近くの神保町オフィスでは皇居ラン時のお荷物お預かりサービスも予定しています。
ぜひ東京マラソン2019チャリティで、フローレンスを応援してくださいね。7月2日から公式サイトでの1口1000円~のチャリティもお待ちしています。不安いっぱいの駒崎に、ぜひ投げ銭を!
「アクティブチャリティ」は寄付先事業を行う寄付先団体が、独自のプロモーションやランナー向けプログラムによって、主体的に寄付を呼びかける取り組みです。フローレンスもアクティブチャリティ対象団体です!7月のエントリーに先駆けて団体に直接お申込みいただけますので、こちらのフォームからお問合せください。