駒崎 弘樹 公式ブログ 事業ニュース

日本初「障害児保育園ヘレン」ついにオープンしました!!

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苦節2年半を経て、ついに今日プレオープン(ならし保育開始)です。
2年半前に、世田谷区の1人のママから「子どもに重い障害があり、どこも預かってくれない」という相談をFacebookで頂きました。
一緒になって探してみたけれど、世田谷区どころか、東京中でもフルタイムで預かってくれる場所がない。
そこで愕然としました。世界有数の都市、東京で、1人の重症心身障害児をも預かれないなんて。
そこから我々の旅は始まりました。保育所を作ってそこで障害児を受け入れたらどうだろう。ダメだ、保育所は園児を選べないし、看護師や作業療法士を置いては成り立たない。障害児の通所施設はどうだろう。いや、4時間分しか補助が出ていないから、長時間やったらそれだけ赤字になる。
八方塞がりの中、それでも諦めずにモデルを模索し続けました。途中、戦略コンサルティングファームのアクセンチュアさんの優秀なコンサルタントの方に入って頂き、調査・分析を担って頂きました。Facebookで呼びかけた障害児家庭の皆さんが、プライベートなことにも関わらず、快くヒアリングにのって下さいました。そして、ついには医療ケアの必要な子ども達でも、長時間保育ができるモデルが何とか構想されるまでに至りました。
しかし苦難は続きます。重い障害児の預かりの知見が弱かった僕たち。エクセルは回っても、現場のフローを描ききれません。そんな時、実習を受け入れて下さった、障害児施設・訪問看護事業者の皆さん(すぎな愛育園、ほわわ、たんぽぽ、ADDS、笑顔さんさん等)に、本当に助けられました。僕自身も実習に行って、実際に子どもたちに触れ、目を開かされました。
徐々に理解者も現れはじめました。フローレンスの利用会員であった、障害児ケアに詳しい小児科医の積田先生がアドバイザーを買って出てくれました。スーパーの西友さんは、初期投資の一部を寄付して下さいました。杉並区は「開園するならぜひ我が区で」と熱心に申し出て下さり、初期費用の一部を補助、後には利用者が認可保育所と同等の負担で利用できるよう、助成制度を作って下さいました。福武純子さんを始めとした、共感して下さった個人の方からも寄付を頂き、果ては杉並区の中学生達が商店街を回って寄付を集めてくれたりもしました。
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しかし、様々な制度の壁が立ちはだかります。建築基準や許認可の壁。日本初の取組であるヘレンは、既存の制度からしたら、イレギュラー中のイレギュラー。ダメ出しの矢が降り注ぎます。SNSからは「障害児だけで、インクルーシブじゃないのはどうなんだ」等の批判も受け、正直心が折れかけました。
けれど、スタッフ達が不屈の闘志を見せます。監督機関からの非常に細かい指摘とNOにも冷静に対処し、何度も何度も書類を書き直し、食い下がります。チームで「私たちは絶対にやれる」と励まし合い続けたのです。
そのうち応援して下さる方々の輪が行政内、区議会、都議会にさえも広がっていきました。監督機関内部の方々の雰囲気も「何とかしたい」に変わっていってくれたような気がしてきます。そして気づけば多くの人々が、このプロジェクトが頓挫しないよう、下支えしてくれました。大事なWEBも、岡本佳美さん率いるアム社と、デザイナーの大野舞が素晴らしいものを創り上げてくれました。(http://www.helen-hoiku.jp/
そしてようやく、ようやく東京都への指定申請が降り、この日を迎えることができました。
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プレオープン初日、1組目の親子が来てくれました。透析をしている1歳くらいの子が、ヘレンの保育スタッフに話しかけられて、弾けるような笑顔を見せました。本当に可愛い、可愛い笑顔と、笑う子を見て微笑むお母さん。
その光景を見て、恥ずかしながら今まで溜まっていたものが吹き出し、涙が止まらなくなりました。
横を見ると事務局長の宮崎も号泣しています。
そう、こんな光景が、見たかったんだ。
奇しくも娘の誕生日が今日でした。何だか2人目の娘が生まれたような気分です。
ここまで来れたことに、今までこのプロジェクトを支えて下さった皆さんに、心からの感謝を。
これからヘレンは、チームヘレンは、素晴らしい現場を創っていきたいと思います。
そして僕は、障害があっても当たり前に保育の光を受けられる制度を創るべく、政治家や官僚の人達に頭を下げまくっていきたいと思います。
皆さん、これからも共に歩んで頂ければ、嬉しいです。
最後にNHKニュースを引用し、筆を置きます。
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首都圏NEWS WEB
杉並に障害児専門の保育園開園
09月17日 18時01分
障害がある子どもを専門に預かる保育園が17日、東京・杉並区に開園し、医療的なケアが必要な子どもなどが保育に慣れるための「慣らし保育」を受けました。開園したのは、障害がある子どもを専門に預かる保育園「ヘレン」です。
保育の事業などに取り組むNPO法人が区の助成などを受けて始めたもので、たんの吸引や胃に穴を開けてチューブで栄養や水分を送る「胃ろう」といった医療的なケアなどが必要な、0歳から3歳の子ども11人が入園することになっています。
保育園には、病院の小児科で勤務した経験がある看護師など障害がある子どもの対応に熟練した10人ほどのスタッフが常駐し、子どもの体調や預かるうえで注意が必要な点などについて母親から説明を受けたあと、17日から早速「慣らし保育」が行われました。
厚生労働省などによりますと、医療的なケアが必要な子どもを巡っては、多くの保育園が、ケアができる看護師を常駐させられないなどの理由で、受け入れを断っていて、入園を求めて訴訟に発展するケースもあったということです。
鼻からチューブで栄養を送る「経管栄養」を受けている子どもの母親は「区役所からは『経管栄養』を理由に認可保育園の入園を断られ、認可外の保育園も10か所ほど当たりましたがすべて断られました。保育園が見つからなければ、仕事を辞めなければならなかったので、とても助かります」と話していました。
この保育園では、1か月ほどかけて「慣らし保育」を行い、10月初めごろから朝から夕方まで子どもを預かる事業を本格的に始めることにしています。厚生労働省によりますと、障害がある子どもに特化した保育園は、全国で初めてではないかということです。
保育園を運営するNPO法人「フローレンス」の駒崎弘樹代表理事は「今の社会では障害がある子どもを出産した親は、仕事が出来ないなど多くの制約を受けてしまう。この保育園を先行事例にして問題意識が広がってほしい」と話していました。
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