駒崎 弘樹 公式ブログ
ライフ・子育て
そこの政治家と教育委員と教育パパママ、この本は読んどけ!『「学力」の経済学』
「学力」の経済学 中室牧子著
これは、掛け値無しに面白い一冊。
簡単に言うなら、エビデンスなき言説がそれっぽく跋扈する教育界に「それって科学的根拠あんの?」と叩き付けたられた挑戦状。
・ゲームが子どもに悪影響って、そんな証拠ないんだけど
・「良い先生」超重要。だから優秀な人材が先生になれるよう、教員免許やめようよ
・「全国学力調査で秋田県がトップ。だから秋田の学校を学ぼう!」とか意味ないよ。だって公立だけの調査で私立入れたらトップ東京だもん。それに学力の半分が家庭環境が要因なんだから。
等々、刺激的な研究を多数紹介。
そして意外にも、保育業界や子育て支援の方々には、保育所保育指針なんかよりもよっぽど大きく勇気づけられるでしょう。
なぜなら
・全教育段階において、最も投資対効果が高いのは「幼児教育」
→4歳の時に投資した1万円は、60万円〜300万円になって社会に還ってくる
・学力等のIQよりも「意志力・粘り強さ・やり抜く力」というような非認知能力の方が子どもの将来に大きく影響を与える
→ひらがな早く書かせるようないわゆる「教育的な園」より、友達と遊んだり考えさせたりルールを身につけさせる「生活力をつけさせる園」の方が教育的)
・父親が子どもの勉強を見るのはとても効果的(特に男の子に)
→イクメンは子どもの学力も高める!
ちなみに個人的には、「少人数学級は全体的には費用対効果はそこまで良くないが、貧困/マイノリティ層の学力を大きく押し上げた」というところが好きでした。おそらく小規模保育も、厳しい環境にある子どもや家族達に、大きく効果をもたらすのではなかろうか、と。
実はフローレンスとは、この本の著者である中室教授と小規模保育がどのくらい子どもや家族にとって良いか、エビデンスを出そうと思って共同研究をし始めました。
いまだに某政党は「園庭が付いている大規模な認可園こそが良い保育園っっっ!」と口から泡を飛ばしているのですが、何のエビデンスもないドグマ的な主張です。
僕は低年齢の子ども達には、より応答的なコミュニケーションが重要で、それが子どもの非認知能力をおおいに伸ばせるのではないか、という確信にも似た仮説を持っています。
それを中室先生と共に研究して行けたらな、と。
この本は、教育・保育関係者のみならず、子を持つ親の皆さん、全ての教育に関心を寄せる人々に読んで頂きたいです。そして、教育委員会や地方/国会議員等、教育施策に関わる方々には、僕が金払うから買ってほしい、と思います。いや、マジで.
「日本の教育(保育も)に、エビデンス(科学的根拠)を!」