【大手小町】沐浴戦線異状なし
生まれたばかりの子どもへの、パパの代表的な仕事の一つ。それは沐浴だ。
当然、沐浴初体験のその日には、僕は相当の気合と共に臨んだのだった。
まず声掛けしながら服を脱がせる。
「さらちゃん、お風呂でしゅよー。脱ぎ脱ぎさんしましょうねー。」
疑念と共に僕を見る、娘(生後5日目)。
腕をぐっと折り曲げ、抵抗する。
「ほれ、抵抗せんで、脱げ」と娘に語りながら、ちょっと発言だけ切り取られたら
まずい表現になっていることに気付く。
裸にすると寒いのか、目をつぶってジタバタする。
そんな娘を小走りに風呂場へ。セットしておいたベビーバスに、そっと浸ける。
「ふがっ!!!」
一瞬驚く娘。何が起きたか分からない顔だ。しかしその後、
「ぴぎゅぅー」と目をつむって穏やかな顔に。
「そうかそうか、気持ち良いかー。そうだろ。」
片手で首の後ろを支えながら、ガーゼで顔を3の字で拭く。目の周りを拭くときには、
ちゃんと「ぎゅっ」と目を閉じるのが、かわいらしい。
その後、片手でベビーボディシャンプーのボトルを押し、頭やお腹に泡を塗りたくる。
慣れない手つきで触られるのがこそばゆいのか、娘は「ふがむふがむ」と暴れだす。
「落ちつけっ、落ちつけっ」
と説得するも、ボディシャンプーでぬらぬらしている手からすり抜け、湯船に沈没する娘。
「おぉぉと、危ない・・・」
すぐに引き上げ、ガーゼで顔を拭く。暴れると危険なことを察知したのか、大人しくなった娘をひっくり返し、胸のところを持って、背中とお尻を洗う。
お尻に触った瞬間、「どこ触ってんのよ!」というように「びくっ」とし、暴れる気配を
見せたが、「さらちゃん、おしりいつも蒸れてるよね、きれいきれいするよー」と
理(ことわり)を話すと、通じているのかわからないが(多分通じてないけど)大人しくなされるがままになった。
ひと通り洗って湯船に浸けていると、何とも気持ちよさそうな表情をしている。
きっと胎児の時の感覚を思いだしているのだろう。可愛いなぁ。
ベビーバスから引き上げ、バスタオルを広げた妻の手元に娘を渡す。
その後二人で柔らかいバスタオルで拭いた後、湿疹に消毒液を塗ったり、まだ取れていないヘソの緒の周りを麺棒で消毒したり、耳を掃除してあげたりと、いたれりつくせり。
服を着させて、おむつを履かせて、ひと仕事がようやく終わろうとしていた。
長かった。自分が風呂に入ったわけでもないのに、ビールを一杯やりたくなった。
さて、娘を布団に運び、今度は自分が風呂に入ろうか。
そう思い娘の首とお尻に手をかけた瞬間。
「ブリブリブリブリブリブリブリ・・・」
「・・・。おーまーえーなーーーーーーーー!!(涙)」
僕は天を仰いだのだった。
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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