駒崎 弘樹 公式ブログ 旧ブログ記事

大黒柱ヘッドギアを外せ


最近友人から「結婚の踏ん切りがつかない」と相談をいくつか受けます。

共通する理由としては、曰く「まだ一人前になった、っていう感じしないんだよね。」「俺、まだ女房子ども食わせてけるレベルじゃないわ。来年会社あるか分かんないし。」等など。
はぁ?お前何言ってんだ、目を覚ませ、と僕は言ってやるんですよ、彼らに。
「俺たちが一人前になる時なんて、やってこない」と。
最近NHKが出した本で「なぜ10年前の35歳より年収が200万円も低いのか-”35歳”を救え」と言う本があります。

グラフ.jpg
グラフそのまんまなんですが、僕らアラサー世代の先頭バッター、35歳の年収のボリュームゾーン(一番多い層)は10年前から200万近く下がっている、というわけです。多くの人が年収300万~350万円ですよ、と。しかも、7割が課長にすらなれないし、年を取れば年収が上がっていく、という保証はどこにもないわけです。(20年前にJALが破綻することを予想していた人、いませんよね。)
そういったわけで、残念ですが僕らが「一人前」(自分一人の収入で女房子どもを「養う」ことができるようになる)ということは、だいぶ先か、あるいは一生ないか、ということになります。ごめん、そういう時代なんだわ、と。
で、こうした「大黒柱ヘッドギア」を男性の多くは孫悟空よろしくはめていて、結婚間近になるとギリギリと頭を締め付けてきて、苦しさに耐えかねて結婚回避行動に動いていくわけです。
でもちょっと待てよ、と。俺たちが「大黒柱」である必要性って、本当にあるの?と僕は友人に問います。
そもそもこの「サラリーマン・専業主婦世帯モデル」(=死ぬほど長時間働く旦那が、家に寝に帰って労働力を再生産しやすいモデル)というのは、高度経済成長下において最も合理的だったため、国策として推奨された家族モデルです。労働時間=製品供給数=売上=シェア=国家の経済成長だった幸福な時代の家族像です。
今はどういう時代でしょう。経済は成熟化(低成長化)し、人口減少、働き方は多様化し、それゆえライフスタイルも多様化。昭和は遠くになりにけり。昭和のビジネスモデルが急速に陳腐化しているように、家族モデルとて変容せざるを得なくなっているのです。
ゆえに、別にお前が大黒柱じゃなくても、奥さんと共働きして2馬力でいきゃあ良いじゃないかよ、と。例えどっちかがリストラされても、どっちかが働いていりゃあ、しばらくは生きているさ。それは最大のリスクヘッジだろ、と言えるわけです。
更には生活レベルを身の丈以上に上げる行為を取らず(一度生活レベルを上げると下げられない)に、「金をかけずに幸福度を高める」ライフスタイルへと変えていけば、全くノープロブレムで人生送ることができるのです。
つまりは「共働き/低生活コスト/幸福度最大化」戦略を取れば良いだけなのです。
しかしそのためには前提となる「共働き」を可能せしめるライフスタイルが必要となってきます。それが「家事育児のシェア」です。「家事を手伝う」・「育児を手伝う」ではありません。「家事を共有する」「育児を分担する」ことです。夫のタスクリストの中に家事が含まれてくるようになるのです。妻にアウトソースしていた家事育児を、内製化していくわけです。
これは、人によっては痛みを感じるプロセスです。金を稼いでくる仕事(ライスワーク)よりも、金銭の発生しない家事育児等のボランタリーワークは下位であると位置づけてきた男性にとって、試練になります。家事・育児にコミットしている時間が、貴重な人生の一部をドブに垂れ流しているように感じるわけです。
しかし古いビジネスモデルを企業が再構築しなくてはならないように、一人前でないことを理由に結婚に不安な男性諸氏は、昭和の家族モデルから脱皮する必要があり、そのスタートラインは、自分の中の「昭和メンタルモデル」を捨て去ることから始まるのです。
低年収時代?上等だ。俺たちは衰えゆく時代の中、最高に幸福な人生モデルを築き上げてみせるさ。友よ、びびってないで、愛する人を抱きしめよう。大黒柱ヘッドギアなぞ脱ぎ捨てて。
—————————————————————-
当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
PCサイト http://www.florence.or.jp/
携帯サイト http://www.florence.or.jp/m/index.htm
病児保育で困っている、サービスを希望するという方は、
こちらのフローレンス本体のページから、お申し込み下さい。http://www.florence.or.jp/
我が子が待機児童になってしまって困っている方は、
「おうち保育園」でお預かりができるかも知れません。
http://www.ouchi-hoikuen.jp/
フローレンスのサービスエリアは東京23区の足立区/板橋区/江戸川区/江東区/品川区/渋谷区/新宿区/杉並区/墨田区/台東区/中央区/千代田区/豊島区/中野区/文京区/港区/目黒区/荒川区/大田区/世田谷区/葛飾区/北区/練馬区 に加えて、千葉県浦安市です。
ひとり親への超安価な病児保育サービス「ひとり親パック」に共鳴し、寄付を
して下さる!という方は、下記のフォームでお申し込みください。
http://www.florence.or.jp/corp/fr/fundraiser/
ワークライフバランスや男女共同参画、ソーシャルビジネスについての
講演を依頼されたい企業、自治体、メディアの方々は
↓からお申し込み下さい。
http://www.florence.or.jp/inquiry/form1/ask_kouen.htm
フローレンスへのインターンを希望される学生は、
NPO法人ETIC.の細田さん宛にご連絡頂ければと思います。

TOP


いつもご支援頂き、誠にありがとうございます。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。
_______________________

HOMEブログトップへ