New York Times にコメントを掲載頂きました。残念ながら日本の待機児童問題が海外から注目
ついに世界から注目されるまでになった待機児童問題。(http://p.tl/MbEj-)
先日、IMFのラガルド専務理事とお話した時も「女性が先進国並に働けば、GDP成長率が4%アップ(過去10年では0.8%)するのに、なぜやらないんだ」と盛んに仰っておられました。
そう、「なぜ、とっととやらないのか」と僕も思いました。そして1つでも多くの良質な保育所を創ろう、と格闘してきました。
多くの人々は、「女は家にいろ」という昭和脳なオヤジ政治家の存在が壁だと言います。確かにそういう部分もあるでしょう。杉並区議の田中ゆうたろう等は、その典型であり、象徴です。(親達は『「お願いです。私達の子育てをどうか手伝って下さい」と言うべき』と自治体には保育の責務があるにも関わらず完全に転倒した論理を展開中 http://p.tl/twVl- )
しかし、はっきり言ってそれは見えやすい敵なだけで、実は問題はもっと根深い。
保育所の供給は、社会主義的に自治体が五カ年計画を策定し、それに合わせ予算を取り、それに合わせて事業者を募集し、彼らが計画的に配置して行きました。こうした「配給システム」は、専業主婦+サラリーマン世帯が大半であった時、つまり母親が働くことが例外であった時代にはマッチしていました。
けれど、多くの母親が働くことが当然となった1990年代頃から、需要が増加し、「配給」では間に合わなくなりました。自治体のスピードと、需要増加のスピードに乖離が生まれ、しかしそれを是正する面倒な制度改正を熱心に行う政治家も多くはなかったのです。
なぜか。保育を必要とした20代・30代層の投票率は決して高いものではなく、政治家にしてみれば、頑張って汗かくだけの見返りが少ないからです。同じだけ苦労するなら、ほぼ必ず投票してくれる高齢者に対し頑張った方がまし。
そんなわけで、公的支出は子ども(家族):高齢者は、1:11という先進国一のアンバランスな状態になったのでした。
だから、杉並区のエキセントリックな議員を叩いているだけでは、問題は解決しません。もちろん次回は絶対に投票しないでおけば良いですが、より本質的には自治体が配給するシステムを見直し、民間事業者が自由に参入していける仕組みを後押しすることです。
同時に、現在の認可保育所というがんじがらめの形態だけではなく、ヨーロッパのような多様な形態、少人数の小規模保育等を導入し、供給量を増やしていきます。
そしてそのように増えていく保育所たちの質が、良いものであるように、自治体はチェックと是正(と悪質な施設をキックアウト)を地味に繰り返していきます。つまり、自治体(行政)は、保育士雇って保育するプレイヤーから、良質な保育の供給が行われていくプラットフォームの管理者へと、役割変更していくべきなのです。
そんなわけで、僕は今日も地味に小規模保育所を開園し、目の前で困っている方々の力になりつつ、小規模保育の事業者がより多く増えていくようにノウハウをオープンにし、事業者育成していきたいと思います。更には国に対し、こうしたレジーム・チェンジを訴えていき、10年以内に待機児童が解消されるようにしていこうと思います。
国や自治体の方々、協力して下さい。人が作った問題は、人が解決できます。
いつやるか?もちろん「今」でしょ!!
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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