【大手小町】休むことで得るもの
僕はこれまでの経営者人生で、一生懸命働いてきた。しかし、懸命に働くということが、時として自らを罠にかけることに繋がる、ということをこの育休は教えてくれている。
僕は経営者として、懸命に働いてきた。それは自らが立てた年間の計画を遂行するために、特に社員を叱咤し、時に激励し、時に調整を行い、時に自ら陣頭に立って営業をする。今年の目標が達成できたら、来年の目標を立て、その連続が、組織の健全な成長をもたらす。そんな風に思いながら、目の前に次々と投げ込まれるボールを、千本ノックのように打ち返す日々だった。
しかしその千本ノックをいったんベンチに入って、子どもを抱きながら見つめるうちに、ふと自分の中から普段抱かない感情が湧きあがった。
「この子が大きくなった時に、僕はどんな仕事をしているのかな。」
日々の切った張ったではなく、5年、10年、20年というスパンで、僕はどうやって僕の仕事を完成させていくのだろうか、と考えた。
こどもをベビーラックに乗せ、最近めっきり使わなくなったノートの白地に、円を描いた。ここが今自分のいる場所。そして10年後、どこにどんな風に行くのだろう。いや、行きたいのだろうか。
ゆっくりと流れる時間の中、深く深く自分の意識の海に潜っていった。自分の業務を離れ、仕事を離れ、死んでいく一個の生き物として、死ぬ前にどのような足跡をこの世界に残したいのかな、と自らに問う。
暗い静かな意識の底。そっと意識の底に転がっている貝殻を開ける。すると、その中には小さな、しかし確かに光る小さな真珠のような「思い」があった。
娘が泣き出した。僕ははっと我に返り、意識の海面に顔を出した。
娘を抱っこしてあやしながら、今後10年で自分がやらなくてはいけない何か、いや、やりたいと無意識のうちに思っている何か、に確かに気づいていた。
忙しくしていた中で、日々の業務と懸命に闘っていたがゆえに、考えられていなかったものに、今たどり着いたのだ。
置き忘れていた。しかし仕事と距離を取ることで、改めて自分にとって仕事とは何なのか、を気づくことができた。
自分の今立っている地面が、未来のどこに繋がっているか、を体感し、心が躍った。
娘が笑ったので、僕は笑い返した。
君が教えてくれたのかもね、と言いながら。
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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