友達限定バーと年をとることの楽しさ
元電通のクリエイティブディレクターで、ベストセラーの「ファンベース」で有名な、敬愛するさとなおさんが、「友達と友達の同伴者限定」バーを開いたので、行ってきた。
グルメと旅の本を出すくらい、食を愛していたさとなおさんは、ある日鯖のマリネを食べたらアナフィラキシーショックを起こして病院に運ばれ、そこからアニサキスアレルギーで魚介類を一切食べられなくなった。食べたら命に関わる。
魚だけでなく、かつお・いりこ・あごやかつお出汁等の魚介だしも無理。ということは、ほぼ外食が不可能になる。グルメ本を出すほど食を愛する人にとったら、ほぼ拷問だ。
外に出なくなると、自然と友人たちとの繋がりもなくなってくる。そこで、「会いに行けないなら、会いに来てくれる場所をつくろう」と思ったそう。
かくして、自分の大切な人たちと、時間を過ごせるこのバーができた。
その日はたまたま公式オープニングの日。
一般のお客さんは来れなくて、みんなさとなおさんの友人知人。なので、その場に偶然居合わせた人とも仲良く話せる。今まで映画に出てくる「行きつけのバー」にずっと憧れてたけど出会えずいたけど、ここがそうなりそうで嬉しい。
僕は今44歳で、社会的には「おっさん」の部類に入る。おっさんの社会的評価は厳しい。老害と時代遅れの象徴で、多様性の敵。年を取るごとに何かを失っていき、こんなはずじゃなかったんだけど、こんなもんなんだな、と自分を納得させるように。
でも、さとなおさんは僕より20歳年上なのだけど、さとなおさんと話していると、年を取ることにワクワクさせてもらえる。
自分も大好きな仲間たちとこうやって、毎日ワイワイ笑える日々を、あと20年後に持てるのかも。そしたら素敵だな。誰が来てくれるかな。あの人と話せたら良いな。その時にちょっとしたモノ出せるように、料理できるようになっておこうかな、なんて。
店を出る時には、歳を重ねることへのちっちゃな希望が、ポケットに入っていた。
さとなおさん、オープンおめでとうございます。
またちょこちょこ顔出しますね。