「付き添い入院」問題に新たな動き!効果のほどは…?
フローレンスや当事者団体が提言してきた「付き添い入院」問題に、新たな動きがありました!!
保育士を2人以上配置した病院への加算を引き上げることで病院の保育スタッフ増員を促し、家族の負担軽減を図るそう。
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20240220-OYT1T50067/
これまで長い間見過ごされてきていた、過酷な付き添い入院に苦しむ家族たち。
そんな家族を支えるための一歩を踏み出してくれたことに、まずは感謝したいです。
厚生労働省、ありがとうっ!!
ただ、この改善で本当に「付き添い入院」問題が解決するか?というと…
残念ながら、そこまで大きな効果は期待できないな、というのが正直な感想です。
【付き添い入院とは】
今の日本では、幼い子どもが入院した場合、ほとんどのケースで保護者に24時間体制での「付き添い」が求められます。(民間の調査によれば、入院した子どもがいる保護者の85%が付き添い入院を経験※1)
制度上は「原則不可」なんだけど、小児患者等の場合、医師の許可を得て家族が付き添うことができることになっています(※2)。病院側も人手が足りないから、保護者にお願いして、「保護者が希望して付き添う」という体で行われちゃっているんです。
そのため多くの保護者は仕事を休んだり辞めたりして、1日中子どもの世話をしているわけです。食事や睡眠も十分に取れず、入浴もままならないような環境で…。
【今回の改善内容と、その問題点】
こんな状況のなか、今回厚生労働省が進めるのが「保育士を2人以上配置した病院への加算引き上げ」。
こども1人あたり「1日1,000円」だった加算を「1日1,800円」に引き上げるから、病院は保育スタッフを手厚く配置させてね!…という話です。
保育スタッフを増やして親の負担を軽減しよう、という考え自体は素晴らしい!
ただ、それには加算額がまだまだ圧倒的に低すぎる…。
入院中のこどもの保育は、集団保育ではなく、基本的に1対1保育。
こども1人あたり「“1日”1,800円」ってことは、仮に1人のこどもを2時間保育しても、病院は1,800円しかもらえない。
保育士の時給を考えると確実に赤字です。
そうなると、利用者(親)にとっては1日最大1時間くらいしか使えない微妙な仕組みになりそうだし、病院にとってもこれがどこまで保育士雇用のインセンティブになるのかは疑問です。
【僕たちの提言】
そこで僕たちが提言したいのは、既存の保育制度である「居宅訪問型保育事業」の活用です。
重い障害などで地域の保育園等に通えない子どもに対し、保育士が家庭を訪問する制度なんですが、これを入院中にも使えるようにしてほしい。
全国すべての病院が、十分な数の保育士を雇用するのは現実的には難しい。
だったら、外部の保育士が病室に行けるようにすれば良いんです!!
こども家庭庁は「病室は家じゃないからNG」なんていう謎の利用制限を撤廃して、入院中の子どもにも「居宅訪問型保育事業」を使えるようにしてください!
こどもの病気や怪我という、ただでさえつらい状況にある親が、「付き添い入院」によって肉体的・精神的・経済的に追い詰められる。
こんな悲しい現実を変えるため、フローレンスは今後も提言を続けますっ!
親子の課題を事業と政策提言によって解決するフローレンスは、これからも親子の声を政治に届け続けていきます。
フローレンスのこうした社会的アクションや政策提言活動は、皆さんからのご寄付によって支えられています。
ぜひ、これからもフローレンスの活動を応援いただきますよう、よろしくお願いいたします。
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※1 NPO法人キープ・ママ・スマイリング・聖路加国際大学「入院中の子どもの家族の生活と支援に関する実態調査」(2021年10月)
https://university.luke.ac.jp/news/2021/jgl9rh0000006cjn.html※2 「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和4年3月4日付け厚生労働省保険局医療課長・歯科医療管理官通知 保医発0304第2号)p.37
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/000215074.pdf