迅速に、今できる最大のことを。コロナ感染拡大から直近1ヶ月「フローレンスのアクション」まとめ
新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて報告されたのが、2020年1月16日。
それから2ヶ月あまりで国内で2,000人を超える感染が判明し、今なお猛威を奮い続けています。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、政府からも様々な感染拡大防止策が講じられていますが、その背後で新たに生まれている社会課題もあります。
私たちフローレンスでは、「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」というミッションに従い、行動を起こしてきました。
【一斉休校要請に対し、子どもたちの預け先を提供】
2月27日(木)の夜、安倍総理による突然の全国小中高一斉休校要請が発表されました。
週明け3月2日(月)からの休校要請ということもあり、子どもを育てる家庭では、仕事の調整や子どもの預け先の確保が求められました。
フローレンスでは、通常、病児のみのお預かりをしている病児保育事業部において、健康児の預かり実施を決定。
週明け3月2日からの子どもの預け先の1つとして、利用会員の方にご利用いただいています。
また、仙台の企業主導型保育所「おうち保育園こうとう台」でも小学校3年生までの一時預かりを決定しました。
【一斉休校による親子の「困った」を可視化、そして提言へ】
しかし、休校開始からまもなく、突然かつ長期間の休校に対し、保護者と子どもたちから戸惑いの声が上がるようになりました。
実際に保護者や子どもたちが何に困り、具体的にどんな支援を必要としているのか、この時点では明らかになっていませんでした。
この支援のニーズを明らかにすることが、社会全体で親子を支える取り組みにつながると考え、フローレンスでは「一斉休校に関する緊急全国アンケート」の実施を決定。
3月6日(金)の調査開始から、わずか4日間で全国から10,504件の回答が集まり、そのうち、休校・休園対象となったお子さんのいる保護者から8,339件の回答を頂きました。
アンケートの結果については、詳しく解説した動画をYoutubeにてアップしています。
アンケートからは、運動不足や精神的なケアの必要性など、子どもたちの心身への負担を心配する声が上がりました。こうした声から明らかになったニーズをまとめ、フローレンスからは5つの提言を行いました。
・校庭解放など、子どもたちが体を動かすことができる居場所を提供してください
・学習の遅れをサポートするオンライン・オフラインの対応をお願いします
・経済的に困難な家庭、ひとり親家庭に経済的・外的支援と子どもの見守り支援をお願いします
・子ども達や、子ども連れへの不寛容な言動をやめてください
・子ども及び保護者が疲弊しています。政府は正しい情報とスケジュールを示してください。
このアンケート結果と5つの提言を元に、3月13日(金)には萩生田文部科学大臣を訪問し、直接要望をお伝えしました。
面会後、その日のうちに全国の各自治体・各学校施設に通達されるQ&Aが更新され、子どもの外出、校庭開放についても明記されました。
さらに、翌14日に行われた安倍内閣総理大臣記者会見では、首相自らが屋外での運動に言及しています。
1万人を超える皆さんの声が、文部科学大臣に届き、首相が会見で子どもの屋外運動について明言し、各自治体が校庭開放を実施することにつながったのです。
これは私たちフローレンスが成し遂げた成果ではありません。全国の保護者のみなさんが声を上げた、子どもたちを思って行動した、その成果でした。
【文京区こども宅食で臨時便の配送を実施、こども宅食応援団でもふるさと納税を活用した緊急支援策】
フローレンスは、文京区内の就学援助世帯など、経済的に困窮する子育て世帯へ2ヶ月に1回定期的に食品をお届けする、文京区「こども宅食」のコンソーシアムメンバーです。
また、この「こども宅食」モデルを全国に広げる一般社団法人「こども宅食応援団」の運営事務局も務めています。
文京区こども宅食では、利用家庭にアンケート調査を実施。経済的に厳しいご家庭に特化した休校措置に関する臨時便配送におけるニーズの可視化に取り組みました。アンケートは配信してすぐに300件の回答が集まり、食事の準備や食費の負担が大きくなっている現状や、一斉休校に対する不安の声も多く寄せられました。
アンケート結果をうけて、臨時配送では留守番中の子どもが簡単に調理できるレトルト食品、簡単におかずが作れる合わせ調味料、子どもが喜ぶお菓子などを揃え、配送しました。配送後は、「買い物に困っていたので本当に嬉しい。ありがとうございます」といった、感謝の声が多数寄せられています。
こども宅食応援団では、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイスを運営する株式会社トラストバンクと協働し、寄付者が食や収入源の不安を抱える全国の生活困窮家庭に米などの返礼品を送ることができる新しいプロジェクトを発足させました。
突然の給食停止で困っているこどもたちに物資を。子育て家庭への支援プロジェクト
【医療的ケア児の「命に関わる課題」へのアクション】
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、最も緊張を強いられているのは、基礎疾患を抱えた状態である医療的ケア児家庭です。
医療的ケア児は、日常的にたんの吸引や酸素吸入などの医療的ケアを必要としており、家庭は医療の現場そのものです。医療的ケアは保護者か医療従事者、特別な研修を受けた人にしかできないため、一斉休校の要請を受けて保護者は24時間の看護体制を余儀なくされました。
こうした状況を踏まえ、フローレンスが事務局を運営する一般社団法人「全国医療的ケア児者支援協議会」では、医療的ケア児家庭に特化した緊急アンケートを実施し、ニーズの把握を行いました。
3月6日(金)の調査開始から5日間で、全国から196件の回答が集まりました。
アンケートの結果からは、消毒用エタノール・マスクなどが不足し、医療的ケア児家族が日常のケアを行えないという命に関わる状況や、一斉休校に伴い親は仕事を休まざるを得ず、所得が減り今後の生活に不安を抱えている課題等が明らかになりました。
特に「感染予防のマスクが手に入らない。気管切開しているので吸引時に使用する消毒液が必要だが、手に入らない」といった声は、医療的ケア児の命に関わる問題です。
アンケートの結果から、行政・民間企業・社会に求めるサポートとして下記の3つを提言しました。
エタノールやマスクが医療的ケア児の家庭に行き届くようにしてください。
医療的ケア児家庭に対し、自宅訪問型の支援を、①柔軟に、②利用者の負担を増やすことなく、できるようにしてください。
移動の際、福祉車両を利用出来るように、補助を増やしてください。
また、3月12日(木)には永田町子ども未来会議でお世話になっている、野田聖子議員・荒井聡議員を訪ね、アンケート結果とともに、3つの提言を訴えました。
即日、両議員は厚労大臣に要望書を提出してくださり、厚労省が約4500本の消毒液を全国の人工呼吸器を使う医療的ケア児のために配布してくださることになりました。
また、こうした医療的ケア児の消毒液不足問題は、次々に各TV局や新聞でも報じられ、全国から医療的ケア児のために使ってほしいと消毒液やマスクの寄付のお申し出に繋がっています。
全国医療的ケア児者支援協議会では、消毒液やマスクの寄付のお申し出と、必要としている医療的ケア児者家庭とのマッチングプロジェクトもスタートしました。
新型コロナウイルスの影響で枯渇している物資を全国の医療的ケア児者へ!エタノール・アルコール綿などの緊急物資支援受付を開始!
【いま、この瞬間に日本で起きている「親子の笑顔をさまたげる社会問題」を解決する】
フローレンスでは、日頃は子どもが病気になったときに預け先がない「病児保育問題」や、保育園に入れない「待機児童問題」、医療的ケアや障害のある子どもたちの預け先がない「障害児保育問題」、予期せぬ妊娠を背景に赤ちゃんが虐待死する「赤ちゃんの虐待死問題」など、様々な社会課題を事業によって解決すべく、取り組んでいます。
しかし、今、新型コロナウイルスという新たな脅威によって、次々に「親子の笑顔をさまたげる社会課題」が生まれています。
休校措置で困っている親子の声を集め、状況の改善につなげていくこと。
全国から集った切実な声を、議員や行政など然るべき場所に届けること。
感染リスクの高い医療的ケア児の家庭に、必要な物資を届けること。
メディアの方々とともに、必要とされている支援を伝えていくこと。
様々な企業のみなさんとともに、それぞれの得意分野を活かしながら協力しあって支援を届けること。
今まで実施してきたアクションは、私たちフローレンスだけではなし得ないことばかりでした。
これからも、刻々と新型コロナウイルスの流行状況が変化する中で、新たな課題は生まれていくでしょう。この先、医療崩壊を防ぐための対策も講じられるでしょう。経済の停滞を改善するための対策も検討されています。
国民一人ひとりが、自分ができる範囲から、感染拡大防止に向けての行動と、いま起こっている問題やこれから起こるであろうへ問題に向き合うことが求められています。
私たちはフローレンスも、私たちができるところから、「親子の笑顔をさまたげる課題」へのアクションを続けていきます。
皆さんもぜひご自身でできる範囲からアクションを起こしてください。ともにこの危機を乗り越えて行きたいと思っています。
最後に、新型コロナウィルス感染症治療中の方々が一日も早く回復されますようお祈りしています。
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